研究課題/領域番号 |
17K03304
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研究機関 | 摂南大学 |
研究代表者 |
上田 達 摂南大学, 外国語学部, 教授 (60557338)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 東ティモール / カトリック / 人類学 / 都市 |
研究実績の概要 |
最終年度に予定していた現地での研究成果の発表について、前年度に引き続き実施の機会を探ったが、コロナ禍によって実現に至らなかった。世界的には改善の兆しがみられるものの、東ティモールは2022年5月現在もなお入国が難しく、現地社会での外国人受け入れ状況も正常化まで時間を要している。こうした状況において、2021年度は主に国内において研究活動を行った。まず、これまでに得られた現地調査のデータを文脈化するために、種々の書籍や研究論文の講読に努めた。とりわけ、東ティモールと東インドネシア地域におけるカトリックの歴史について知見を深めた。次に、東南アジア内外の地域を専門とする他大学の研究者らとオンラインで研究会を実施して、人々の政治参加や社会的紐帯のありかたについて意見交換を行った。さらに、ディリの集落においても看守出来た、人々の開発や政治とのかかわりについて、マレーシアでこれまで報告者が実施してきた調査の結果と比較を試みた。東ティモールでの調査地と同じく、マレーシアの都市部に位置する集落での事例について、人類学者と現地とのかかわりあいに焦点を当てて記述した論文「戸惑いの帰趨―観光開発とのかかわりあいから考える」(栗本英世他編『かかわりあいの人類学』大阪大学出版会、2022年)を著した。くわえて、本研究のキータームとなるエスニシティやネーションといった概念について、社会学者らの著したもの(ジョン・スコット『キーコンセプト 社会学』ミネルヴァ書房、2021年所収)を和訳するなどの作業を通じて、再検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
予定していた現地調査が十分に実施できないままにコロナ禍に見舞われているため、進捗状況は芳しくない。先が見通せない状況は続いており、これまでに得られた研究成果を現地で発表する計画も実現できていない。引き続き、微細な修正を図りつつ、さまざまな可能性を探りながら、調査計画の遂行に向けて最善の努力を継続したい。
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今後の研究の推進方策 |
東ティモールへの渡航について、現地の調査協力者と連絡を取りつつ、ひきつづき情報収集に努めたい。2022年夏季の渡航を目指しつつ、2023年2月・3月を視野に入れて準備を進める。また、これまでに収集したデータを整理して、2021年度までに参加してきた各種の研究会に参加して、東ティモールの事例と他地域の事例との比較を進める。あわせて文献研究等の成果を公表する機会や媒体について、検討を進めていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
現地渡航や学会参加のために予定していた国外旅費および国内旅費のための予算が、コロナ禍によって執行できなかったことが、残高が残った理由である。コロナ禍から抜け出しつつある2022年度以降は、徐々に国内外の移動が可能になっている。現地での研究成果発表など、未実施の計画を実現できるよう準備を進めたい。
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