令和4度も引き続き、当該地域に集まる在日コリアン、日本人、フィリピン人移住者の関係に焦点を当てた。現在、複数のフィリピン人グループが、希望の家が運営する多文化交流サロンで活動している。 活動するフィリピン人たちの中には東九条地域以外に住む人びともいる。ここで活動するフィリピン人たちは、多文化交流サロンが主催する外国人住民理解のためのセミナーや、外国人向けの新規来日児童生徒のための教育に関するワークショップなどに通訳補助などで運営に関わっている。 この様なフィリピン人たちの一部が「東九条マダン」の活動に参加し始めた。また、多文化交流サロン周辺には、E9シアターが開設されるなど、東九条マダンで活躍した若手演劇活動家が活発に活動している。さらに、コミュニティカフェほっこりなどこれまでになかった「居場所」や「出会う機会」において、3つのエスニシティ集団が交流を活発にするが増加している。そして、この動きは、コロナ19以降もオンライン活動などを通じてより活発になりつつある。 特に令和4年度は、コミュニティカフェほっこりが媒介的な拠点となり、3つのエスニシティ集団が交流を活発にする「居場所」になりつつあることに焦点を当ててきた。そこでの複数エスニシティ・ナショナリティ「関係」は静態的なものからより動態的な「駆動域」となり、変化し続ける過程に入っている。 例えば、カフェにインドネシア人スタッフがかかわったことで、3つのエスニシティ集団の交わりはより複数なものに変貌しつつある。複数エスニシティ・ナショナリティ関係の拡大はさらに進んでおり、今後も目が離せない動向であり、継続した考察が必要である。
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