研究課題/領域番号 |
17K03313
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
李 妍淑 北海道大学, アイヌ・先住民研究センター, 博士研究員 (90635129)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 婚姻家族 / 家族規範 / 家事紛争 / 家事裁判 / ジェンダー |
研究実績の概要 |
2018年9月に台湾に赴き、家族法研究者および家事紛争に詳しいジェンダー研究者にインタビューをし、家事紛争に関する実態や裁判実務の展開状況についてインタビューすることができた。また、11月に韓国の済州大学で開催された「新・アジア家族法三国会議」に参加し、台湾、韓国、中国の研究者と意見交換をはじめ貴重な示唆を得られたことで、本研究成果の視角を広げることにつながった。12月の東アジア法哲学会第11回大会(香港大学)では、法哲学、法社会学、ジェンダーなど新領域の学術分野、実定法分野など、分野横断的な課題を扱う学会ならではの広範かつ専門的な意見交換を行った。具体的には、各国の最近の家族法をめぐる立法や政策の動向、実務にみられる新旧の課題、その課題を解決していくための方策、これらをめぐる法哲学的な分析などについて広く比較しつつ、専門家の意見を伺うことができた。本研究に不可欠な、韓国、台湾および中国からの研究者や実務家と情報交換とともに、人的ネットワーク作りの一環となった。 国内においては、比較法学会(6月)、現代中国法研究会(9月)、ジェンダー法学会(12月)に参加し、学会の最先端の議論状況を把握した上で、自分自身の研究の位置付けを確認し、不足分についても残された課題として確認することができた。1月に名古屋大学で行われた国際シンポジウムでは共催者として参加し、バングラデシュの家族や女性をめぐる状況改善への取り組みについても知見を得た。 資料収集については、これまでと同様、関連書籍、雑誌掲載の論文、立法資料、法令集、裁判例、入手可能な内部資料(とくに中国)などを中心に行った。 なお、育児により研究活動のスケジュールにやや乱れがあったが、出張先や出張期間の調整、およびパートナーとの調整を通じて、大きな影響はなく、おおむね順調に進み、今後の研究にも繋げることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
①国内における関連図書や雑誌などによる資料収集を効率的に進めることができたため。 ②国外の学会に参加した機会を利用し関係研究者や実務家と直接コンタクトを取り、実際に現地で直面している問題状況についての解説を受けた上で、意見交換をスムーズに行うことができたため。 ③以上のことから、最終年度に予定している成果発表に向けた研究環境が整ったと考えられるため、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
台湾で行った資料収集とインタビュー方法を援用し、引き続き中国および韓国での調査を行う予定である。ただし、先方の都合など予想外の事態が生じたような場合には、調査期間を短縮し、資料収集を中心に切り替えることも視野に入れる。また、2019年度は研究全体の最終年度にあたることから、これまでの総括を行うことが最大の目的である。台湾と韓国での調査と分析から得られた結果を中国の家事紛争解決プロセスの比較対象として構成し、研究成果をまとめる。まず、これまでの研究調査から明らかになったことと今後の課題として残されたこととを明確に腑分けし、その上で、得られた成果の確認を終えて秋学期に入り次第、直ちに研究成果をとりまとめた論文作成を開始する。
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