2019年度は本研究の最終年度にあたることから、これまでの研究内容を再確認・再検討することを意識しつつ、以下のように研究活動を行ってきた。 まず、国外においては、10月に韓国の済州大学で開催されたアジア女性法学会2019年大会に参加し、台湾、韓国、中国などアジア諸国の研究者および実務家との意見交換を通じて各国の「家族とジェンダー」に関連する法制度の現状および課題を把握することができた。11月の新・アジア家族法三国会議第9回台湾会議(於東呉大学)では、台湾、韓国、日本の三国の家族法研究者、裁判官、弁護士などと広範かつ専門的な意見交換を行い、貴重な示唆を得ることができた。 つぎに、国内においては、日本家族<社会と法>学会第36回学術大会(11月・早稲田大学)、ジェンダー法学会第17回学術大会(12月・大阪大学)に参加し、学会での議論状況を把握した上で、本研究の意義および位置付けを再度確認する機会となった。 以上を踏まえて、本年度は次のような成果を出すことに至った。日本司法福祉学会第20回全国大会(於鈴鹿医療科学大学)のワークショップで「DV事案におけるソーシャルワークーー台湾の事例を中心に」というテーマで研究報告を行ったとともに、「中国家族法」というテーマで戸籍時報にて連載してきた論文を完結することができた。こうした研究報告や執筆活動は、本研究の重要な一部として位置付けられる。 資料収集については、これまでと同様、関連書籍、雑誌掲載の論文、立法資料、裁判例、法令集などを中心に行ったが、場合によっては、直接関連専門家に対してインタビューやメールでの質疑応答などの方法を通じて必要な情報を収集することにも努めた。
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