本研究は、中国の家事紛争解決システムにおける裁判の実務と家事紛争が生じる社会の実態を、ジェンダーおよび東アジア比較の視点から調査・分析し、これを主たる手がかりとして、いわゆる「家族」とは何かという古典的かつ近代的な問いに一定の答えを与えようと試みたものである。具体的には、家事紛争が生じる社会の実態からみる「家族」の多様性と家事事件を取り扱う裁判からみる「家族」の画一性を確認した上で、多様な家事紛争に介入する既存の紛争解決システムの限界を検討することを通じて、それが中国人の画一化された家族観形成に不可欠な役割を果たしていることが明らかになった。
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