研究課題/領域番号 |
17K03317
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研究機関 | 大阪教育大学 |
研究代表者 |
西村 貴裕 大阪教育大学, 教育学部, 准教授 (70367861)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 自然保護 / 天然記念物 / 国立公園 / 郷土保護運動 |
研究実績の概要 |
2020年度は昨年度に引き続き、ドイツにおける自然保護制度発展の起点となった天然記念物制度の成立史について研究を進めた。論文の草稿はかなりの程度書き進めることができている。日独における現在の制度の違いを歴史学的に説明しうる研究であり、環境史・法制史・さらには現代の自然保護論に対しても、若干の寄与が期待されるものと考えている。しかしやはり昨年度と同様、コロナウィルスを原因とする渡航制限によって詰めの史料収集を行うことができず、執筆を中断せざるをえなかった。 2019年度にはThe Fifth Biennial Conference of East Asian Environmental History (EAEH2019)での報告のため英文原稿を完成していたが、体調不良により公表することができなかった。幸いにも近く出版される予定の日本環境史ハンドブック(英語)への寄稿を依頼されたため、上原稿をベースにして日本の国立公園史にかんする一章を執筆中である。この章は上原稿、さらに以前に科研費の補助を受けて執筆した「国立公園の軍事化」についての英語論文を組み合わせ、初学者向けに平易に描きあらためるものである。しかし日本の国立公園制度・自然保護制度の歴史について従来論じられることの全くなかった姿を描き出しており、またこれを英語にて世界の読者にも紹介するものであり、それらの意味で意義があると考えている。この報告を執筆している2021年4月末現在、この原稿はほぼ完成している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
パンデミックが最大の阻害要因となった。研究業績の概要においても記した通り、論文の完成に必要な史料収集を2019年度末から行うことができていない。しかしやはり上述の通り、それを補う類似の研究・執筆を進めている。 また、本来であればドイツ郷土保護運動から自然保護制度の成立への流れについて研究を深める予定であったが、想定以上に天然記念物制度についての文献調査に時間がかかったため、これについても遅れ気味である。
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今後の研究の推進方策 |
まだパンデミックの状況が見通せず、いつ渡航制限が解除されるのか、解除されたとして困難なく史料収集旅行ができるのかどうか、現在のところ不明である。したがって今年度の研究・執筆計画についても明確な方針を書くことができない。しかしいずれにせよ、現状で出来ることを誠実に一歩一歩進めるつもりである。具体的には上に記載した通り、英語の環境史ハンドブックへの原稿は、近々完成させる予定である。ドイツ天然記念物制度の成立過程についての論文も、国内でできることは全て進めておき、渡航の機会が来るのを待ちたい。また郷土保護運動についての文献調査も可能な限り早急に進める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
パンデミックに伴う渡航制限により、予定していたドイツへの史料収集旅行が不可能になった。
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