研究課題/領域番号 |
17K03319
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
緒方 賢一 高知大学, 教育研究部人文社会科学系人文社会科学部門, 教授 (00380296)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 一般社団法人 / 集落 / 地域的公共性 |
研究実績の概要 |
2019年度は研究最終年度であり、研究のとりまとめと課題の整理を行うべき年度であったが、調査研究が進捗するにつれて研究計画とは異なる現実に直面したこともあって、期間内に計画を終了することができず、1年間の延長申請を行った。 一般社団法人の現段階の実態は、2018年度までの調査研究により一定程度明らかになっているが、一般社団法人の設立がかなり見られる農業界におけるそれらは、地域的公共性の実現のためというよりは、集落営農の法人化(株式会社や農事組合法人)に伴って、集落組織を一般社団法人化する、いわゆる2階建て方式の1階部分として整備されている事例が多かった。本研究が想定した、地域的公共性の一元的担い手としての集落の組織化、法人化は現実にはまだ進んでいないという状況が明らかになった。高知県においては高知県農業会議の協力を得て、また、全国農業会議所の協力も得て、高知県や鳥取県のいくつかの事例を見て回ったが、本研究の予定するところに適合的な事例は見られなかった。漁村についても文献調査等を行ったが、同様であった。従って、実態調査から理論を構築することが難しくなった。調査を継続すると同時に、文献研究等他方面からのアプローチが必要になった。 このため、さらに研究を継続すべく期間延長を申請したが、2020年2月以降急速に広がった新型コロナウイルス感染症の影響で、現地調査自体が実現不可能となり、今後調査研究が再開できるかについても不透明な状況である。このまま今年度現地調査ができなければ、調査再開の可能性を探りつつ、並行して研究のとりまとめを進めざるを得ない状況となっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
現実に存在し活動している一般社団法人を調査研究するうちに、研究計画で想定した枠組みに当てはまらない現実が明らかになり、研究対象を拡大、変更する必要が生じたため、調査対象を選定しなおさなければならない事態となり、とりまとめを始めることができなかった。 その上、追加調査を計画し始めた矢先に新型コロナウイルス感染症の拡大の影響を受けて、現地調査そのものができなくなってしまった。 現在、調査研究が可能になるか情勢をにらみつつ、それがかなわない場合への対処として、これまでの現地調査と文献研究によって研究とりまとめをすることが可能かどうか、検討中である。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルス感染症の収束が見えない状況下にあって、調査研究の見通しを判断し、計画を立てることが難しい。 事態が収束して現地調査が可能になったとしても、延長期間内に調査を実施、とりまとめを行い、最終的な結論を出すことは難しいと考えられるので、研究2年目までの調査結果及び文献研究から得られた情報等を元に、最終報告をとりまとめるという方法が、現段階で取り得る最良の推進方策と考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
現地調査研究が計画通りに実施できず、また、出席を予定していた学会等についての旅費が不要になったりしたため、旅費に余剰が生じた。 また、協力機関への謝金についても、不要となることがあり、謝金等についても余剰が生じた。 新型コロナウイルス感染症の収束が見えない中、現地調査の再開も見通せないので、旅費予算の一部を図書等の備品購入費用に切り替えて使用する予定である。
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