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2019 年度 実施状況報告書

政策形成型訴訟の日米比較研究

研究課題

研究課題/領域番号 17K03320
研究機関早稲田大学

研究代表者

秋葉 丈志  早稲田大学, 国際学術院, 准教授 (80453009)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2021-03-31
キーワード政策形成型訴訟 / 同性婚訴訟 / 司法 / 憲法 / 比較法
研究実績の概要

今年度は、これまでにこのプロジェクトで行ってきた研究のうち、特に同性婚訴訟を巡る動向について、研究成果の共有(学会報告、論文出版)を行うことにおいて成果を挙げた。
まず、2019年6月にアメリカのLaw and Society Association(法社会学会)の年次大会で日本の動向についての報告を行った。そして2019年12月の東アジア法社会学会(大阪)では、学会の組織委員を務めつつ、自身がセッションのorganizerとなって、日本、韓国、香港の研究者や実務家を交え、同性婚訴訟を含む政策形成型の訴訟についての国際パネルを企画した。自身の今後の方向性を見出すような重要な場となった。
2020年3月刊行の『法と社会研究』第5号では、「社会運動としての同性婚訴訟」というまとまった分量の論文を掲載するに至った。これは、2019年2月に国内で一斉提起された同性婚訴訟の弁護士や支援団体の役割にも焦点を当てつつ、アメリカの経験と比較しながら、こうした訴訟の可能性や課題を展望するものである。日本の同性婚訴訟についてまだ多くの論文が出ていない中で、比較的初期に弁護士等にも直接話を伺いながら行った分析であり、今後の議論の呼び水となることが期待できる。
同じく2020年3月刊行の市川ほか編『現代日本の司法』(日本評論社)では、「政策形成型訴訟における分析と根拠」という論稿を掲載した。これは、このプロジェクトで研究対象としているような政策判断的要素を持つ訴訟について、裁判所が実際にどのようなデータを用いて判断を下しているか、分析を試みたものである。アメリカでは同様の研究が多くある一方、同様の問題があるはずの日本では実証的な研究が少なかった領域であるほか、今回のプロジェクトで扱う各ケースに跨る基礎研究という意義もある。
以上のような「アウトプット」を多く行った一年であった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

当初の研究計画では、扱う予定の各ケースに跨る調査を行ったうえで分析とアウトプットをする予定だったが、特に同性婚訴訟の分野で国内で大きな展開(2019年2月に訴訟の一斉提起)があったこともあり、その調査と分析、及び早めのアウトプットに注力することにした。その成果が上述の通りで、集中的に取り組んだ意義があったと思う。
一方で、他のケースについてのインタビュー調査(特に海外調査)は当初計画より相当遅れてしまったことは否めない。後期の授業期間後に予定していた出張調査が、コロナウィルスの件で不可能になってしまったことの影響も大きい。
研究成果に沿った一定の成果を挙げつつ、日程的に遅れているということで、全体として「やや遅れている」という判断である。

今後の研究の推進方策

研究計画に記した各ケースに関する調査を完遂する予定である。特に重要なのは日米の弁護士や支援団体への聞き取り調査であり、これを計画的に進める。但しこれを記している時点ではコロナウィルス禍の影響により外出や国内外への出張、人との面会がままならないので、今後の状況の推移によって、オンラインもしくは書面による聞き取り調査に切り替える。なお前期は一票の格差や選挙制度に関わる事例研究、後期はジェンダー・家族関係の訴訟に関わる事例研究に専念し、その後は全体としての分析と成果の取りまとめに注力したい。

次年度使用額が生じた理由

研究実績及び進捗状況の欄で記した通り、事例研究のうち一部に関する調査からアウトプットまでを先行させた一方、他の事例調査が遅れており、かつ授業期間後に予定していた調査がコロナウィルス禍により停滞したため、予算を繰り越すこととなった。その大半は数回の海外出張(アメリカ)のために予定していた予算であるため、比較的まとまった額となっている。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2020 2019

すべて 雑誌論文 (2件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 2件) 図書 (2件)

  • [雑誌論文] 社会運動としての同性婚訴訟2020

    • 著者名/発表者名
      秋葉丈志
    • 雑誌名

      法と社会研究

      巻: 5 ページ: 31-66

  • [雑誌論文] (書評) Sosho to senmonchi: Kagaku gijutsu jidai ni okeru saiban no yakuwari to sono henyo (Litigation and Expertise: The Evolving Role of Courts in the Era of Science and Technology) , by Chihara Watanabe2019

    • 著者名/発表者名
      Takeshi Akiba
    • 雑誌名

      Social Science Japan Journal

      巻: 23: 1 ページ: 128-131

    • DOI

      https://doi.org/10.1093/ssjj/jyz044

  • [学会発表] Same-sex marriage litigation and legal mobilization in Japan2019

    • 著者名/発表者名
      Takeshi Akiba
    • 学会等名
      Asian Law and Society Association
    • 国際学会
  • [学会発表] No Legal Rights nor Litigation: The Paradox of LGBT Activism in Japan2019

    • 著者名/発表者名
      Takeshi Akiba
    • 学会等名
      Law and Society Association (U.S.)
    • 国際学会
  • [学会発表] 国籍確認訴訟における弁護士と支援団体の役割2019

    • 著者名/発表者名
      秋葉丈志
    • 学会等名
      無国籍研究会
  • [図書] 現代日本の司法ー「司法制度改革」以降の人と制度2020

    • 著者名/発表者名
      市川正人、大久保史郎、斎藤 浩、渡辺千原 編著
    • 総ページ数
      532 (188-207)
    • 出版者
      日本評論社
    • ISBN
      978-4-535-52474-3
  • [図書] 人権保障と国家機能の再考ー憲法重要問題の研究2020

    • 著者名/発表者名
      後藤光男、高島譲 編著
    • 総ページ数
      328 (49-72)
    • 出版者
      成文堂
    • ISBN
      978-4-7923-0664-9

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公開日: 2021-01-27  

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