研究課題/領域番号 |
17K03322
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研究機関 | 青山学院大学 |
研究代表者 |
松本 英実 青山学院大学, 法学部, 教授 (50303102)
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研究分担者 |
葛西 康徳 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 教授 (80114437)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ミクスト・リーガル・システム / 慣習法 / 混合法 / バルカン法 / ユーゴスラヴァイア / モンテネグロ一般財産法典 / フランス法 / 民法典 |
研究実績の概要 |
本研究は、ミクスト・リーガル・システム(混合法)論の方法論を用いて、我国の従来の慣習法論を批判的に検討し、これを通じて日本法の比較法的再定位を行うことを目的とする。西洋法以外の要素として指摘される「慣習法」の再検討を通じて、日本法自体の比較法的位置づけを、内外の研究者・実務家に提示し、グローバル化におけるミクスト・リーガル・システム論の新たな展開に貢献することを意図している。 (1)「慣習法」概念の検討として、慣習法と「古代法」の連関を吟味し、Henry Maineの発想・方法の影響を分析した("Bogisic and Ancient Law")。(2)実証的比較研究として、日本における民法の近代法典化と、バルカン諸地域における近代法典化とを比較する共同研究を推進した('Comparative Studies of Civil Law between Modern South Slavic Regions and Japan: Structure, Origin and Language')。(3)慣習法をめぐる知的・学問的交流関係の解明として、モンテネグロ一般財産法典(1888年)の起草者ボギシッチと日本の交流を分析し、成果を公表した("Bogisic and his unrewarded contribution to the modern Japanese Civil Code")。(4)近代法典の代表格たるフランス民法典について、特に公証人による慣習法の成形に焦点を当てつつ、法創造の多様性について考察した論文を公表した(「フランス古法の世界」)。(5)日本法をミクスト・リーガル・システムとして捉えたときに、個別のinstitutionがどのように理解しうるかを、不法行為法を例として論じた英語論文を改訂し公表した("Tort Law in Japan")。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究成果の発表を概ね予定通りに行うことができた。しかし、コロナ禍によって、最終的な研究成果発表のための研究会を開催することができず、研究期間の延長を申請し認められた。
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今後の研究の推進方策 |
2020年に実施することができなかった国際研究会「近代スラヴ地域と日本の民法比較研究」を開催するか、これを代替するような方法によって、研究を総括する成果の公表を行いたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた国際研究会がコロナ禍および参加者の体調不良により実施できなかったために残額が生じた。予定していた成果公表を行うために次年度使用額を用いる計画である。
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