研究実績の概要 |
1.混合法論における慣習法の持つ重要な意義について総論的な論考をまとめた(松本「ミクスト・リーガル・システム」『トピック法学史』)。 2.ミクスト・リーガル・システムの方法論を採用することによって、日本法にとって新しい比較対象となるモンテネグロ(クロアチア、セルビア)について、本研究で得た知見を総括する報告を行った(松本「ボワソナードとボギシッチ:モンテネグロ一般財産法典をめぐって」、「『法学提要』の近代的書き換え――スコットランドとモンテネグロ――」)。 3.補論として、憲法上の慣習、慣習による憲法の持続性についての考察を行った。E. MATSUMOTO, Unwritten law of promulgation in Japan, Edinburgh;The promulgation of law and the Constitutional change: an example of Japan, 25th BLHC. Kasai, The August Revolution in Japan 1945, Belfast and Edinburgh. 4.コモン・ローとの比較を通して、従来の慣習法の見方が制定法中心主義、法典至上主義の呪縛の下にあること(例、制定法か慣習法かという二者択一的発想)を自覚することによって、慣習法と体系との関係、慣習法の表現といわれる法格言の性格等について再考した。松本、コラム「コード・シヴィル」、「『法学提要』の近代的書き換え」、葛西「比較法学史研究の一素材としての『法学提要(The Institutes)』―特に体系と普及に関して―」、「コモン・ローにおける『法学提要』の意義――その歴史と現状」法制史研究) 5.古代の慣習法について、compromiseの側面から考察を行った。Kasai, The Greeks on compromise.
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