本研究は、19世紀ドイツ地域型調停の運用実態を、残存する調停記録帳から分析するものである。具体的には、研究開始時点でわずかにその存在が確認できていた19世紀末ドイツの自治体調停記録帳を統計・内容的に分析し、当時の代表的裁判外紛争解決手続きが住民のどのようなニーズに応えたのかを測り、後の比較法史研究に資することを目指した。 調査によりマールブルク公文書館に大量の―1848~1879年のみで11,700事件を超える―自治体調停記録が見つかり、サンプルとしてヴァルデック侯国ニーダーヴィルドゥンゲン治安裁判所における記録帳の申立件数、紛争内容、和解率、当事者の社会的属性等の傾向を分析した。
|