研究課題/領域番号 |
17K03331
|
研究機関 | 京都薬科大学 |
研究代表者 |
野崎 亜紀子 京都薬科大学, 薬学部, 教授 (50382370)
|
研究分担者 |
橋本 努 北海道大学, 経済学研究院, 教授 (40281779)
嶋津 格 獨協大学, 法学部, 特任教授 (60170932)
川瀬 貴之 千葉大学, 大学院社会科学研究院, 准教授 (90612193)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | 専門家集団 / リベラリズム / 多様性 / ナショナリズム |
研究実績の概要 |
最終年度として、これまでの研究を統合的に検討し、研究を実施した。現下のパンデミック状況のため、予定していた対面での研究会や共同研究外の方との研究会等における意見交換等は実施できず、また国際会議でのworkshopが叶わなかったが、共同研究者各自での検討を進め、最終的には計3回の研究会をオンラインで実施した。 第1回研究会は、野崎亜紀子「専門家とリベラリズム」報告を行った。専門家という専門知の共有を前提とする集団性を背景とする専門家と、リベラリズムが基盤とする個人の尊重とは、緊張関係にあるものの、両者には相互補完性があること、さらには近代法を基軸とする社会を支えるリベラリズムの健全な維持には、醸成された専門家集団による情報提供(研究)環境の整備が必要であることを論じた。 第2回研究会は、嶋津格「「多様性」とNationの分裂:米国における自由と平等の行方」報告を行った。米国保守派の議論を中心とした現代の議論現状及びその理論的背景の検討が行われた。現在党派的な様相を呈すると評される米国保守派の議論動向を共有することで、集合的意思形成と社会構造との関係を正義を基底として検討する機会を得ることとなった。 第3回研究会は、川瀬貴之「『リベラル/ナショナリズムの理論』で言いたかったこと」報告を行った。リベラリズム擁護への根拠要請に比して、ナショナリズム擁護に対する理由が過剰に要請されることの意味・意義を中心とした報告を行った。リベラリズムとナショナリズムとの対立は必然ではなく、相互に道具的補完性を有する点等、検討する機会となった。 これら3回の研究会及びその前提となる各研究の遂行により、本研究が目的とする、既存のリベラリズム理論に新たな視角を提供し、以て既存の規範理論の改良という純理論的な意義に止まらない方向性の示唆を得た。
|