研究課題/領域番号 |
17K03337
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研究機関 | 龍谷大学 |
研究代表者 |
橋本 祐子 龍谷大学, 法学部, 教授 (80379495)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 法と感情 / 法哲学 |
研究実績の概要 |
本研究は、法と感情の関係性について探求する「法と感情(law and emotion)」という新たな研究領域に着目する。学際的な研究領域である「法と感情」研究の全体像を把握したうえで、「法と感情」研究の重要な思想史的源泉の一つをスコットランド啓蒙思想に求め、特に道徳感覚―正義―法の関係性について重点を置きつつその現代的意義を探求することをめざすものである。 平成31年(令和元年)度においては、前年度に引き続き、英米圏における「法と感情」研究の最新の動向を把握し整理するために文献を収集、精読し検討を行った。その成果として、現代の「法と感情」研究の全体像を描き出し、その法哲学上の意義に関して考察を行う論文の執筆作業に取り組んだが、残念ながら完成までには至らなかった。一方で、現代の「法と感情」研究の思想史的源泉として大きな影響力を有しているA. スミスの共感理論を手がかりとして、刑罰制度と応報感情の関係について検討を行った成果を、"Retributive Emotion and Criminal Justice"として、7月に開催されたIVR法哲学・社会哲学国際学会連合(International Association for the Philosophy of Law and Social Philosophy)世界大会(ルツェルン大学・スイス)のワーキング・グループにおいて報告を行った。また、2020年度日本法哲学会学術大会統一テーマ企画の責任者として、本研究の内容とも密接な関連性を有するシンポジウム「法と感情(仮)」を企画し、他の報告者らと準備研究会を2回(10月、12月)実施し、法哲学における「感情」の位置づけに関して議論を深めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
「法と感情」研究の法哲学上の意義について考察を行う論文の執筆に取り組んだが、学内業務増加のため論文を完成させるまでには至らなかった。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、現在執筆中の論文を早急に完成させ、さらに、現代の「法と感情」研究において確認しうるA.スミス、D. ヒュームの影響に的を絞り研究成果をまとめる。
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次年度使用額が生じた理由 |
発注先の事情により予定通りに書籍を購入できなかったために生じた。 次年度にこの書籍の購入に充てたい。
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