本研究は、法と感情の関係性について探求する「法と感情(law and emotions)」という新たな研究領域に着目する。学際的な研究領域である「法と感情」研究の全体像を把握したうえで、「法と感情」研究の重要な思想史的源泉の一つをスコットランド啓蒙思想に求め、特に道徳感覚―正義―法の関係性について重点を置きつつその現代的意義を探求することをめざすものである。 最終年度である令和3年度はこれまでの研究の暫定的なまとめとして、日本法哲学会学術大会にて、統一テーマ全体の提題趣旨説明ともなる研究報告「統一テーマ『法と感情』提題趣旨」を行った。 本報告は、当初は令和2年度(2020年度)の日本法哲学会学術大会において実施予定であったが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響により1年延期され、令和3年度(2021年度)大会にて実施された。大会委員長として、本研究の成果を反映させつつ、統一テーマ企画「法と感情」を構想し、数回にわたるオンライン研究会などを通して準備を行った。 本来は、最終年度であることから、これまでの研究成果をまとまった論文のかたちで公表することを目指したが、学会としての最初のオンライン開催の準備と実施に忙殺されることとなり、残念ながら、所期の成果を達成することができなかった。
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