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2021 年度 実施状況報告書

「世帯」の家族法史――20世紀日本の家族法判例と家族法学の史的展開――

研究課題

研究課題/領域番号 17K03338
研究機関尚絅大学

研究代表者

宇野 文重  尚絅大学, 現代文化学部, 教授 (60346749)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2023-03-31
キーワード明治民法 / 身分法学 / 「家」制度 / 中川善之助 / 家族法学説史 / 戦時の家族法学 / 戦後の民法改正
研究実績の概要

継続して取り組んでいる20世紀前半の身分法学者の理論研究について、執筆を進めている『20世紀例外状況と総力戦体制における日独法学』について、共著者であるドイツ人研究者の論稿およびドイツ側編者の研究者、日本側編者の研究者との意見交換を経て、以下の点について検討を加え、論稿に加筆する方向で研究を進めた。
第一に「植民地における混合婚の日独比較」について、ドイツの人種主義的混合婚を踏まえ、日本の植民地における婚姻法の適用等を戸籍制度論を含めた上で検討し、人種主義的要素をどうとらえるか検討に取り組んだ。第二に「家族と民族Nationとの関係性について」、「銃後の守り」としての民法一部改正等についてさらに検討した。
第三に戦時期における国家の家族への介入について、あわせて第四の論点としてに戦争による女性の地位向上の有無および人口政策と離婚との関係という二点については、家事審判所構想や人事調停法および人事調停制度に加え、いずれも人口政策との関係について論じるべきとの結論に達し、今後具体的に検討を進めることとした。第五に1920、1930、1940年の各年代における立法への家族法学者のコミットメントの比較、第六にドイツにおける1933年のナチス政権成立による民法への影響に類する日本の状況の有無について、の二点については、1919年以降の家族法学説史および立法史をより詳細に叙述するための研究を進めた。最後の論点として戦後民法改正と1950年代以降の展望について、ドイツとの比較を視野にいれた検討を進めることとした。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

執筆中の『20世紀例外状態と総力戦体制における日独法学』(松本尚子、レオ・フォリャンティ編)の論稿について、ドイツ側執筆原稿との調整や意見交換によって、新たに7つの論点が追加され、その検討・分析を加えた上で、字数に限りのある中での英語・日本語での執筆に取り組む必要があり、十分な研究の時間が必要となっているため。

今後の研究の推進方策

執筆中の『20世紀例外状態と総力戦体制における日独法学』の論稿について、以下の論点について研究を進める予定である。
第一に、植民地との混合婚について台湾を中心にドイツにおける人種主義的な要素との比較に注意しながら研究を進める。第二に家族と民族Nationとの関係性について、「銃後の守り」と民法との関係に加え、「家族国家観」と関係についても検討を進める。第三・第四の論点として、戦時期における国家の家族への介入についておよび戦争による女性の地位向上の有無等について、「人口政策確立要綱」を中心に国家の家族への介入という論点についてジェンダーの視点も含めて研究を進める。第五の論点として1920、1930、1940年の各年代における立法への家族法学者のコミットメントの比較、および第六の論点としてドイツにおける1933年のナチス政権成立による民法への影響と同様の現象が日本にもあるか否かという点について、1919年以後の歴史的経緯についてドイツとの比較を踏まえて加筆修正を進める。最後の論点として、戦後民法改正と1950年代以降の展望については、戦後の民法改正について「家」制度の廃止、改正の付帯決議、1960年代の反動期、その後の改正等についてこれまでの研究成果を踏まえて論稿をまとめる。

次年度使用額が生じた理由

英語原稿を執筆中のため英文校正を予定していたが、共著者および編者との議論・意見交換によりあらたな論点が加わったため、さらなる研究の遂行と原稿の加筆が必要となり、英語原稿の脱稿・校正にまで至らなかった。
次年度は、引き続き、あらたな論点について研究を進め、英語原稿完成後の校正のための費用として予算を充てる予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2022

すべて 図書 (1件)

  • [図書] つながる政治学改訂版2022

    • 著者名/発表者名
      平井一臣、土肥勲嗣編(共著、宇野文重)
    • 総ページ数
      244
    • 出版者
      法律文化社

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公開日: 2022-12-28  

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