| 研究課題/領域番号 |
17K03340
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| 研究機関 | 北海道大学 |
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研究代表者 |
齊藤 正彰 北海道大学, 大学院法学研究科, 教授 (60301868)
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| 研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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| キーワード | 憲法 / 国際規律 / 多層的立憲主義 |
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| 研究実績の概要 |
本研究は、グローバル化した国際社会における、国際協力のための国際規律の深化と、国家機関の活動の対外関係性の増大について、多層的立憲主義に立脚して憲法的統制の再構築を試みることを目的とし、本年度は、憲法多元主義に淵源するグローバル立憲主義の検討を行うという計画に基づき、文献・資料を収集し、検討を行った。
すなわち、憲法多元主義は、複数の憲法秩序が相互補完的な大きな憲法秩序を構成することを意味するものと解され、EU法とEU構成国の国内法の関係ないしその全体像を描く法秩序構想として支持を得てきており、さらにグローバル立憲主義として国際社会の法秩序構想として注目されることが明らかになった。そして、憲法多元主義は、単一の妥当根拠においてEU法秩序と構成国法秩序を統一することは考えず、両法秩序は相互にその存在を承認して影響し合う非階層的法秩序を構成すると考えるものであり、その相互関係の中には、条件ないし限界があるとはいえ、相互間の調整のためにEU法の優位という一定の優先関係があること、そのような憲法多元主義に淵源するグローバル立憲主義の内容は、日本において国際社会の法秩序を考えるために援用される素地を有していると解されることを示した。
さらに、公権力を制限して人権を保障するという立憲主義の多層化の可能性を探るという本研究課題に結びつく観点から、人権の国際的保障について考察する論稿を共著書向けに執筆していたが、内容を精査・拡充して公刊した。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
憲法多元主義およびそれに淵源するグローバル立憲主義に関する内外の議論の現況を確認・整理し、それに批判的ないし懐疑的な見解についても検討するという本年度の研究計画については、他の研究者との意見交換による検証の機会を必ずしも十分には確保できなかった嫌いはあるものの、文献の収集・検討を進めるなかで、本研究課題の推進にとって重要な手がかりを得ており、相応の達成度に至っていると評価できる。
その意味では、当初計画以上とまではいえないが、おおむね順調に進展していると評価することができる。
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| 今後の研究の推進方策 |
平成30年度は、当初の研究計画に従い、中心的なテーマとして、国際社会の「立憲化」の主張について、国際機構の制度・構造に関心を有するものと、国際法に人権保障を定礎することに関心を有するものとの異同にも留意しつつ、後者に重点を置きながら国際立憲主義の内容を整理・検討する。
平成29年度における憲法多元主義・グローバル立憲主義と国際立憲主義についての考察に基づき（必ずしも検討が十分ではなかった部分を補完しつつ）、研究計画全体の進捗状況や状況の変化に応じて、合理的な調整を行いながら研究の推進を図り、研究成果を適時に公表できるように努める。進捗状況に余裕があれば、多層的立憲主義の接続可能性も検討する。
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| 次年度使用額が生じた理由 |
発注した書籍の一部の出版が延期となったため、その購入が平成30年度以降となった。また、参加予定であった学会のテーマが本研究課題と関連の少ないものとなったため、旅費の支出を取りやめた。これらによって、残額が生じたものである。
この残額は、発注中の書籍が出版されればその購入のために支出され、また、その余の残額については、平成30年度の研究において図書等の購入に活用することとする予定であり、研究計画の変更等、研究遂行上の対応が必要となるものではない。
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