本研究は、行政手続法の未公表の立案過程資料の調査・収集・整理を行い、立案過程の全貌を明らかにしつつ、立案過程における「一般法たる行政手続法」と「個別行政法に損する固有の事情」との関係に着目し、その見地から、現在の各行政領域における行政手続法の展開内容を検証・評価するものである。本研究は、立案過程資料の調査等と個別行政法における手続過程の考察に加え、それらの比較行政手続法的見地からの検討からなる。本年度はそれぞれについて以下のような研究を行った。 前者については、昨年度までに第二次研究会の不明部分等の取りまとめ作業に入るところまで作業を進めていたところ、さらに検討を進めた上、資料を調査、検討をする中で生じた疑問点や資料に関する不明な点について、第二次研究会の関係者に、ヒアリングを行うことができた。その結果、不明部分等の取り扱いについて明らかにすることができるとともに、これまで検討してきた内容についてさらに理解を深めることができた。 個別行政法における手続過程の考察及び比較行政手続法的見地からの検討については、各自で判例研究、比較法制研究等の検討を行った。具体的には、1977年に制定されたオーストラリアの行政決定(司法審査)法(ADJR法)について、同法は、理由提示規定を有するなど、行政訴訟法だけでなく行政手続法としての性格も有しているところ、同法の制定とその後の展開について分析、検討を行い、同法との比較の中で日本の行政手続法の制定、その後の展開を評価した。
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