研究課題
公物法の基礎理論について,フランス法における所有権的構成をめぐる議論に着目して,古典的学説と今日の学説との対応関係を踏まえた考察を行い,公物の財政的観点の捉え方が対立の基礎になっていることを明らかにするとともに,日本法における公物管理権の議論との対応関係を示した。あわせて,これらの議論が,日仏両国における法制度の相違に影響を与えていることを明らかにしながら,公共施設法制の解釈論と立法論に対して有する意義を示した。その成果は,「フランス公物法における所有権的構成あるいは財政的公物観の意義――公物管理権をめぐる覚書をかねて」行政法研究35号において公表している。また,港湾の持続可能性を統一テーマとしたフランスの研究集会(パリ第5大学)において,関連する日本の法制度の分析を行った報告「日本における港湾法の変容と地震リスクの諸問題」の内容を公表した。同論文は,『持続可能性に対応した港湾』(LGDJ社)と題する単行書に収録されており,そのなかでは,特に公共施設の計画に関する制度設計のあり方を検討している。さらに,財政危機を統一テーマとしたフランスの研究集会(エックス・マルセイユ大学)において,「財政危機に対応した日本の財政制度の変革」と題する報告を行い,公共施設に関する財務書類上の諸問題を含めた考察を行った。その成果も,近くフランス語で公表される予定である。このほか,これらの研究成果を踏まえて,日本の公共施設法制を解説した論考を執筆し,公表に向けた準備作業を行っている。
2: おおむね順調に進展している
本研究の成果としての論文等を継続的に公表しているため。
引き続き,公共施設に関する解釈論と立法論を考察する。
新型コロナウイルスの感染状況により,研究の一部が遅延したため。次年度の研究取りまとめ費用に充てる。
すべて 2021 2020
すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)
Les ports maritimes face aux defis du developpement durable, LGDJ
巻: 1 ページ: 55-66頁
行政法研究
巻: 35号 ページ: 119-178頁