第二次世界大戦以降の世界的な違憲審査制の普及は、人権保障の強化など立憲主義の進歩をもたらした反面、憲法学の視野を判例実証主義的な方向へ収縮させる危険も指摘される。本研究は、近年の独仏での発展の検討などを踏まえつつ、憲法学に憲法の政治性への意識や理論性を再生しようとする試みから日本憲法学へのいかなる示唆を汲み取ることができるかを、いくつかのテーマに即して検討・考察する。具体的には、①憲法学の構造をどう考えるか、②憲法学の対象としての憲法概念をいかに捉えるか、③民主政など統治構造の諸問題を論じるためにいかなる方法が可能か、に特に重点を置く。
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