研究課題/領域番号 |
17K03357
|
研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
新井 誠 広島大学, 人間社会科学研究科(法), 教授 (20336415)
|
研究分担者 |
岡田 順太 獨協大学, 法学部, 教授 (20382690)
小谷 順子 静岡大学, 人文社会科学部, 教授 (40359972)
横大道 聡 慶應義塾大学, 法務研究科(三田), 教授 (40452924)
徳永 貴志 和光大学, 経済経営学部, 教授 (50546992)
木下 和朗 岡山大学, 法務研究科, 教授 (80284727)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | 憲法 / 比較憲法 / 日本法 |
研究実績の概要 |
前年度末(2020年2月)、フランスの日本政治研究者を日本に招聘し、本研究課題に関する研究講演会等を実施したところ(前年度の実績状況報告書で既述)、同内容には、フランスにおける日本法・政治学研究の受容や需要に係る重要な情報が含まれていた。そこで、多くの研究者等に知らせる意義があると判断し、本年度、上記講演内容を文字化し、十分な修正を行い、補足的諸情報や解題を付加したうえで、研究代表者が所属する組織が刊行する紀要に掲載した。 以上の講演で得られた知見も踏まえ、さらに海外での調査活動を試みようとしていた矢先、本年度、新型コロナウィルスの蔓延に起因する世界レベルでの移動制限が生じ、移動を伴う調査研究活動等がほぼかなわなくなり、別の方法を用いて研究の実績を積んだ。具体的には、研究代表者・各分担者が、これまで検討した本研究課題に関する調査を踏まえ具体的な研究活動を遂行した。たとえば、海外とオンラインでつなぎ、日本の法事情について研究会講演をし、日本法に関する諸問題を海外へ紹介しながら、日本憲法研究の外国における寄与可能性を探った作業もその一例である。そのうちの一講演(代表者)は、日本の伝統文化と深く関連する事例をめぐる法運用を紹介したものであり、特に仏語圏に向けた発信のため、他者の協力を得て日本語による講演を仏語へ翻訳したものを、紀要で公開した。また、従前の研究を踏まえ、日本の統治機構論に関する動向を概観したり、戦後日本憲政史の諸断面に関する論稿を上梓したり、外国の比較憲法関連書の翻訳に参加したりするなど、複数の者が今後の海外発信の足掛かりともなりうる業績を残している。 以上のように、外在的要素で研究の進行が中断した部分もありながらも、研究代表者と分担者の創意工夫で、互いのコミュニケーションを取りつつ、アウトバウンド型の研究につながる発信を一定程度、実施した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本課題については、研究期間の延長(1年間)の承認を得たことから、新年度における調査出張や研究会など、移動を伴う研究遂行を考えていた。しかし、2020年4月以降も、新型コロナウイルス禍が収まることを知らず、外国渡航はほぼ絶望的となり、国内でも全国的に移動自粛要請が強く求められた。以上のことから、外国に留まらず、国内を含む調査出張自体、ほとんど実行できない結果となった。こうした移動を伴う調査活動の停滞もあり、研究自体の遅れが生じたことが、「おおむね順調に進んでいる」あるいはそれ以上の評価にならなかった大きな理由である。他方、従前の研究調査を基盤としてこの間に新たに実施できた研究もあったことに加え、それを踏まえて、本件に係る一定の研究活動とそれに伴う記録や研究論文その他の刊行を行うことができたこともあり、一定の進捗が見られたともいえる。以上のことから「やや遅れている」という評価に至った。
|
今後の研究の推進方策 |
このたび、新たにコロナ禍を理由として研究がやや停滞したことを受け、さらなる1年間の研究期間の延長を承認された。新たな年度においても、コロナ禍の影響により、海外調査や国内調査、研究会などがどれくらいできるのかは未知数である。しかし、これらを実施できるようになれば、それらを行い、最終年度としてのさらなる研究成果を提示していきたい。 他方、研究を遂行する上での大きな課題として、コロナ禍を理由とする移動制限などが継続することにより、研究調査や対面による研究会などの実施が叶わなくなる可能性が十分考えられるという点がある。そこで、それを補うために、オンラインによる会合による調査や研究会等を進める一方で、やむを得ない場合には、移動を伴う情報収集に頼る割合を少なくし、移動がなくても収集可能な文献等に基づく研究を遂行していくことが求められるであろう。状況を見極めながら、合理的な手法を用いた研究を推進していきたい。
|
次年度使用額が生じた理由 |
2020年度には、当初、本研究のための調査活動として海外におけるインタビュー調査などを予定しており、そのための渡航費用として用いることを中心に考えていた。しかし、コロナ禍でそれを実行できない状況が続き、一定の次年度使用額が生じている。これについては、コロナ禍の状況次第によっては、海外調査等の実施なども考えられるところであり、その渡航等の費用として用いたい。もっとも、必ずしも状況が変化するとは限らないことから、従前の計画を補う他の方法をあわせて考えた使用計画としたい。具体的には、海外実地調査に代わり、オンラインでのインタビューや会合を想定したり、国内移動を伴う研究調査や研究会の実施を考えたり、といったことが検討される(国内移動も難しい場合には、それに代わる、オンラインなどを用いた調査、会合方法としたい)。さらに、調査を補うための文献の購入なども必要となろう。本研究課題は、最終年度となることから、その成果報告のための必要経費としても用いたい。
|