なぜ政府が公害被害を救済すべきなのか、という理論的な問いの下に、どのような範囲・程度において救済すべきかという実践的な問いを位置づけ、実際の救済制度運用をそうした問いと対置しつつ、あるべき制度設計を導く一般的論点を浮き彫りにした。その第一が、社会的な災難に対処する政府の救助責任に関する議論である。本研究では、災害救助法及び新型コロナ対応法制とその実践を分析する過程で、災難の救済を憲法25条2項に基づく公衆衛生対応として整理する提案をした(理論的問いへの応答)。第二に、公健法・原賠法等に基づく救済のケーススタディを進め、救済の範囲と程度に関する個別問題の解決案を提示した(実践的問いへの応答)。
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