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2018 年度 実施状況報告書

持続型・縮退型社会における都市行政の費用負担のあり方に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 17K03361
研究機関首都大学東京

研究代表者

田尾 亮介  首都大学東京, 法学政治学研究科, 准教授 (50581013)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード租税と負担金 / 1919年都市計画法 / 特別公課 / TID / 集合行為論 / 事業用資産レイト
研究実績の概要

本年度は本研究課題の2年度目にあたるところ、下記学会発表の準備に多くの時間を割く結果となり、目に見える形の研究成果は乏しかった。しかし、その準備の過程において、アメリカの特別負担金(special assessment)やドイツの特別公課(Sonderabgabe)等に関して、その歴史的経緯はもとより、関連する裁判例(アメリカ各州裁判所判例とドイツ連邦憲法裁判所判例)や学術論文等の非常に多くの資料・文献に接することができ、また、日本の戦前の地方制度の下で負担金が活用されていた実態にも目を向ける糸口となった。外国法との比較作業や日本の戦前期の資料に基づくと、現在の日本法においては、個人に帰着する利益(負担金)と全体に波及する利益(租税)の違いが強調されるあまり、その中間に位置する「共同の利益を実現するための費用負担」という観点からの検討は乏しく、このことを喚起した点に学会報告の意義があったと考えている。学会報告と質疑応答の内容は、刊行作業が順調に進めば2019年度中に学会誌に掲載される予定である。
本研究課題は、行政資源の有限性、公私の境界の融解、行政の役割の変容を所与として、多様な価値観を包摂する地域社会の構築と、それを実現するための新たな資金調達手法の可能性を探究するという問題意識に動機付けられている。同様の問題意識は法律先進国の間においても共有されており、より国際的なフォーラムの中で議論する段階にあるというのが本研究課題の現状認識である。
今後は、こうして空間的・時間的広がりを有することになった研究テーマを一つの成果物に結実させていくことが課題である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度は、本研究課題とは直接かかわりのない受託研究の研究分担者にも加わったため、本研究課題の進捗は芳しくなかった。しかし、一見、関連性がないと思われる研究課題相互の間で、例えば、資料の探し方や視点の転換等の点において裨益するところは少なくない。前年度からの研究の蓄積は使い果たした感があるものの、次年度以降は本研究課題に対応する原稿執筆依頼を複数受け、現在はそれらに向けた準備も順調に進んでおり、これらの状況を勘案すると、本研究課題はおおむね順調に進展していると評価できる。

今後の研究の推進方策

これまでの研究を振り返ると、本研究課題は公法学としての財政法学の域を出るものではなかった。しかし、民間の資金を活用した公共空間の形成と維持を主題とする本研究課題にとって、公法学と私法学の区別は理論的にも実際的にももはや意味をなさない。次年度も公法学という垣根を越えた分野横断的視野をもって研究を推進していく予定である。

次年度使用額が生じた理由

本年度は多くの洋書や貴重図書を購入したものの、一部は所属研究機関から割り当てられた研究費でカバーできたために未使用額が生じた。次年度も引き続き文献調査に専念する予定であるが、必要があればインタビュー調査等もかねて外国出張の計画を立て、その費用の一部に未使用額を充てることにする。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2019 2018

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 計画の変更・廃止2019

    • 著者名/発表者名
      田尾亮介
    • 雑誌名

      条解国家賠償法

      巻: 1 ページ: 366-385

  • [学会発表] 租税を使わない国家・序説―アメリカ・ドイツのビジネス改善地区(BID)と日本の受益者負担2018

    • 著者名/発表者名
      田尾亮介
    • 学会等名
      日本財政法学会

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公開日: 2019-12-27  

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