学術的意義としては、学界の通説である私生活の平穏から自己情報コントロール権へというプライバシー概念の変化を、アナログからデジタルへというコンピュータ社会に伴う社会の変遷と結びつけて理解しなおすことにより、自己情報コントロール権説としてのプライバシーが人工知能における個人情報の保護と融合してきたこと、しかしながらデジタル化の時代の個人情報からは、人間に内在する自己決定権(憲法13条・幸福追求権)の基礎が欠落し、個人がプライバシーを侵害されるばかりでなくそもそも自己決定できにくくなることを学説の分析から明らかにした。社会的意義としても、デジタル情報だけでは人間の自己決定が失われることを示す。
|