研究課題/領域番号 |
17K03370
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
中山 代志子 早稲田大学, 総合研究機構, その他(招聘研究員) (50386439)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 公法 / 行政法 / 行政調査 / プライバシー / 情報収集 / 人権 / 自由 / 人工知能( AI) |
研究実績の概要 |
研究成果の内容:本研究の目的は、行政調査(行政目的実現のための行政による私人からの情報習得活動)における手続保障、デュー・プロセスの実現に向けたルールの模索である。 2017年度は、日米の個別法分野における調査の実態の研究を行い、博士論文執筆を計画していた。日本の個別法分野に関しては、食品関係事業者を訪問し、行政処分の前段階としての調査の実態を確認した。消費者行政一般にかかる行政調査の実態に関し、若干の知見をえることができた。これを手がかりに、さらにAIに代表される先端コンピュータ技術の進歩と行政法の関係について知見を深め、北京大学・東京大学共催のAIに関する研究報告会に出席し、英語でのプレゼンテーションを行った。 2018年度は、AI研究の知見を活かし、行政調査におけるAIの実用化とその影響について、研究を深める予定である。AIに関しては、現状ではいまだ規制のありかたについての行政法からのアプローチはなされていない状態である。そこで、まず行政規制をAI に及ぼす前提で、その際の基準づくりなどの検討が考えられる。医療機器に関する分野では、プログラムそのものを医療機器として承認を与える仕組みを作り、運用に当たっての基準づくりの検討会が行われている。AIを実際の調査手続きに利用することの考察など、AIに関連づけながら考察したい。
具体的成果:早稲田法学に判例研究を掲載、北京大学・東京大学共催のAIに関する研究会でスピーチを行い、この内容をもとに、国際商事法務にAIと行政法に関して論考を投稿中。食品安全関係法の弁護士会研究部を主宰し、判例研究、調査手続に関する社内弁護士との協議を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は博士論文としてまとめることを目標としているところ、現在までに、すでに米国の各法分野(税法、食品関係法、その他)と行政調査一般論についての議論と重要判例を網羅してまとめたところである。日本の状況についても、理論状況についてまとめた。これから、各論について判例等を精査してまとめていく予定。 また、AIと行政規制の関係についての考察を行ったことから、AIを利用する調査の可能性、AIに対する調査の可能性について、視野を広げることができた。
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今後の研究の推進方策 |
実務の実態を調査するとともに、米国の判例をまとめ充実させる。 同時にAI技術の浸透による影響について、考察を深め、新しい行政調査の可能性を検討し、その予想される弊害と対応法につしても考察する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究のために英語のプレゼンテーション原稿の精査を依頼した。謝礼が生じる予定だったが、依頼先が謝礼を辞退したため、研究費を利用することなく研究を実行することができた、
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