研究実績の概要 |
「世代間公正」という視点を主な基軸として、現代の民主政の課題を析出し、とりわけ選挙制度・議会制度のあるべき姿について憲法学的観点(規範論的観点)から考察するのが本課題である。とくに選挙制度については、「選挙年齢引き下げ」「子ども選挙権(代理投票制)」の議論についてドイツ公法学における議論から示唆を得ることに努める。 平成30年度は、ドイツの現状と理論の検討を中心に研究を進めた。本課題のとりかかりとして、近年公刊された浩瀚なモノグラフィーであるAxel Adrian,Grundsatzfragen zu Staat und Gesellschaft am Beispiel des Kinder-/Stellvertreterwahlrechts,2016の他、Isabel Rupprecht,Das Wahlrecht fuer Kinder,2011などの基本文献を精読し、さらに近時のドイツの政治状況などを踏まえながら、現状の把握・分析と論点整理を行った。また、同書を手掛かりに独語の関連文献を読みすすめた。 本課題を踏まえるかたちで、立法事後評価のドイツでの運用状況についての研究を学内紀要(立命館法学)に2回連載で公表した。さらに、本課題での研究成果を反映させた憲法理論研究会2018年春季研究総会(於:中央大学)における報告「民主政のデザイン―政治プロセスにおける「解散権」の位置」は、その後、「政治プロセスにおける衆議院解散の位置」(憲法理論研究会編『岐路に立つ立憲主義』(敬文堂・2018年)という論稿で活字化されている。『また、ドイツにおける政党の多党化を背景とするドイツ連邦憲法裁判所の判例の評釈を、ドイツ憲法判例研究会2019年5月例会において報告することが予定されている。
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