本研究は、ドイツおよび日本を対象として、選挙制度などの民主政の諸制度が抱える現代的課題について憲法規範論の観点から検討をしている。ドイツにおける選挙制度の実体的・制度的な「動揺」をその背景事情も含めて把握することは、現代民主主義国が共通で抱える民主政の「動揺」の構造を明らかにする手掛かりになるし、その克服のための理論構築の端緒を提供することになる。 日本の文脈に即していえば、①日本での選挙制度に関する法理の再検討のヒントとなり、②一連の議員定数不均衡訴訟や並立制違憲訴訟などで示された最高裁の判断と、これに対する立法府の対応についての動態的な分析の際にも必要な視座を提供している。
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