本研究は,環境法と経済法の融合領域となる資源経済分野を素材とする比較法研究を通じて,政策形成のグローバル化のもと動態的判断が要請される局面において,国際的,国内および地域レベルで多層的に構成される公益間の調和と共存を目指す法政策について,そのメカニズムと法的特色を明らかにすることを目的とする。 新型コロナウイルス感染拡大を受けた研究計画の変更により,前年度に引き続き,これまでの調査研究結果をもとに,EU法政策,ドイツ法および日本法の調査を加えた上で,比較法的検討を進めた。 EUに関しては,サーキュラーエコノミーをめぐる政策展開について,その淵源やグリーンディール政策との関連を含めて調査して取りまとめた。ドイツ法においては,EU政策と関わる複数の政策動向を注視しつつ,洋上風力の拡大を指向する法制度メカニズムについて,洋上風力促進法を始めとして関連法を調査・検討した。また,グローバルな影響として,デューデジリエンスが環境に関しても強調されるようになり,ドイツにおける立法動向について調査した。 日本法では,地球温暖化対策推進法の改正を契機とする地域脱炭素の政策動向を引き続き調査するとともに,地域脱炭素と競合する生物多様性,地域を支える自然資本の観点からも研究を進めた。 新型コロナウイルス感染拡大防止措置に伴い,延期を余儀なくされていたドイツにおける現地調査は,限定的ながら実施することができた。あわせて研究成果の一部については,研究報告や研究論文として公表した。
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