研究課題
本研究課題においては,少子高齢化が進む中で,日本がどのような移民政策を立て,どのように法制度を整備する必要があるかについて学際的視点から多角的に共同研究を行った。平成29年度は,各国の移民政策について比較検討するため,欧米諸国の移民政策に関する基本文献を渉猟し,外国人労働者の受入体制及びその社会的背景について考察を進めるとともに,その基盤となる法学,政治哲学,経済学,社会学及び文化人類学について考察を深めた。平成30年度は,その成果を踏まえて,研究代表者は米仏独蘭瑞の各国に渡航して比較法調査を行い,各々の国籍法制及び移民政策について考察を深めた。各国の国籍法制は,国民国家への帰属を基軸とした国家への忠誠と恩寵を基礎とした関係から,移民の増加に伴い血統主義と生地主義を併用し,個人が複数の国家に帰属することも積極的に容認しつつあり,国籍の意義が変容しているが,現実には,ムスリム移民をめぐってベール問題や学校教育,さらには児童婚やタラ―ク離婚などの家族関係の規律に関する様々な問題があり,多文化主義の要請と,受入国の公序概念及び人権保障との相克について多角的に検討した。また,研究分担者は日本及び東アジアのケア労働者及び移民の受入体制について検討を進め,研究代表者とともに移民の社会的統合を進める方策について考察を深めた。令和元年度は,諸外国に関する研究を踏まえて,日本における移民政策と国際家族関係の規律のあり方について,法学及び社会学の観点から実践的考察を行った。特に日本は少子高齢化の対策として多数の外国人労働者の受入れを決めたが,いまだに出入国管理や労働保護,学校教育には改善すべき点が多く,多文化主義の実現もまだその途上にある。以上の研究成果は,すでに多数の論稿及び学会報告として発表しており,学際的な視点から移民の社会的統合について充実した共同研究を行った。
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すべて 国際共同研究 (6件) 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 2件、 査読あり 3件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 5件、 招待講演 6件) 図書 (1件)
Franco Ferrari and Diego Fernández Arroyo (eds.), Private International Law: Contemporary Challenges and Continuing Relevance (Elgar)
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