研究課題/領域番号 |
17K03387
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
中野 俊一郎 神戸大学, 法学研究科, 教授 (30180326)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 国際私法 / 国際仲裁 / 国際民事訴訟法 |
研究実績の概要 |
本年度は、前年度の国際法学会において研究報告を行った「国際社会における法規範の多元性と国際私法」というテーマにつき、国際訴訟や国際仲裁において、紛争解決規範や紛争解決方法の「非国家化」がなぜ必然的な動きとして生じているかという観点から再検討し、国際法外交雑誌において公表した。未だ問題提起の域にとどまるものではあるが、このような分析視角は、おそらくわが国において初めてのものではないかと考えている。また、過去に論文として公表していた、独禁法違反の損害賠償請求を国際仲裁で解決しうるかという問題について、中国人研究者の助力を得て中国語に翻訳したものが、中国の法律雑誌に掲載された。さらに、日本の国際訴訟・国際仲裁における外国法適用のあり方や問題点を取り上げたウィーンの国際比較法学会での国別報告を、英語による単行本の一部として公表することができたが、これは当該プログラムのジェネラル・レポーターであった西谷祐子京都大学教授のご支援・ご協力によるところが大きい。このほか、国際裁判管轄、船舶先取特権の準拠法、国際結婚の届出意思の判断等に関する判例評釈を3本、国際商事仲裁に関する研究書(「谷口安平=鈴木五十三編著『国際商事仲裁の法と実務』)の書評を1本公表したほか、国際仲裁関係判例に関する米国弁護士との共同研究を今年度も継続して行い、研究成果を仲裁専門誌であるJCAジャーナル誌に3回にわたって公表した。 以上に加え、2017年秋にはレーゲンスブルク大学教授ペーター・ゴットヴァルト教授を神戸大学に招聘し、国際商事仲裁に関する欧州での最新の研究動向に関する講演を開催するとともに、同講演の原稿を日本語に翻訳し、神戸法学年報において公表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度までの研究成果について、特に問題はない。また、研究の進捗につき、特に障害となるような事柄は、現在のところ生じていない。
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今後の研究の推進方策 |
次年度以後についても、これまでと同様の方向性とペースで研究を進めてゆきたい。とりわけ、調停による国際離婚紛争の解決及びその相互的効力承認について、韓国・成均館大学の張教授、台湾・国立中正大学の蔡教授、帝塚山大学の黄教授と共同研究を開始しており、その成果をまとめたうえで、次年度ないしはその次の年度に公表することを目標としている。蔡華凱教授については、神戸大学において長期で招聘し、共同研究を行うことも考えているが、これは外部資金を取得できるかどうかによる。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度、専門誌「Journal of Private International Law」の購入を予定していたが、その価格が為替等の関係で100,000円を超えており、購入予定時期(2018年1月)の予算残額(90,000円余り)では購入できず、その分の剰余が生じた。当該雑誌は次年度予算において購入するべく、書店に発注を済ませた。
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