研究課題/領域番号 |
17K03387
|
研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
中野 俊一郎 神戸大学, 法学研究科, 教授 (30180326)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | 国際私法 / 国際仲裁 / 国際民事手続法 |
研究実績の概要 |
本年度は、昨年度から引き続いて、国際的な家事紛争につき、国家裁判所の裁判ではなく調停によって解決が得られた場合、それが近隣諸国でいかなる効力を認められるか、という観点から、中国、韓国、台湾の研究者と共同研究を行った。その結果、とくに東アジア地域に着目した場合、調停合意の効力は一般に国際的にも認められる傾向にあること(但し、韓国の裁判例においては、未だ外国調停合意の効力承認に関する態度が明らかでない部分も残されていることを留保しなければならない)が確認された。この研究成果の一部は、2019年1月21日に大阪大学中之島キャンパスで開催された国際シンポジウム「国際家事紛争の友好的解決」において報告したほか、来年度には、外国研究者との共同執筆による論文を公表する予定である(原稿は既に出版社に送付済)。また、代替的作為を命じる判決を外国で執行する場合の問題点及び限界につき、主としてドイツでの裁判例の展開や学説上の議論を素材として比較法的見地から検討を行い、研究会において報告したうえで、神戸法学雑誌68巻4号127頁以下において論文を公表した。国際仲裁に関しては、シンガポールの実務家との共同研究を継続的に行い、米国、シンガポールにおける国際仲裁関係の判例紹介を仲裁専門雑誌に3本公表した。このほか、国際仲裁における仲裁人の不偏性と開示義務、それに反した場合の仲裁判断取消可能性に関する判例評釈を1本、国際民事手続法に関する共著の教科書を2冊執筆した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在までのところ、とくに当初予期しなかった研究上の障害は生じておらず、健康上の問題もなく、ほぼ予定通りに進捗してきたと考えている。
|
今後の研究の推進方策 |
次年度においては、上記のように一部研究成果の公表を予定しているほか、年度後半には、台湾における講演会での成果公表を予定している。
|
次年度使用額が生じた理由 |
購入を予定していた高額の外国図書の発刊が延期されたため。これらは3月以後に公刊されたため、既に購入手続を行った。
|