新型コロナに足止めされて、2022年まで研究室あるいは自宅において研究し、折々のズーム研究会等で進めるだけであったが、2022年9月、約2年半ぶりにバーゼル大学ヨーロッパ・国際問題研究所に渡航、滞在して在外研究および国際会議を行なった。国際会議のうち最も中心的なものは市民権の国際比較研究であり、各国から報告者を招いて活気のある有益な会議を行った。それ以外にはウクライナ侵略に関連するスイスの中立問題についての暫定的な研究ミーティングなど、滞在期間を有効に活用した。マルティラテラリズムに関する国際共同研究は今後も継続予定である。 この間、ロシアによるウクライナ侵略が起きたため、月間「みすず」に2回連載で小論を発表したほか、アジア国際法学会の以来でケンブリッジ大学出版会のブログにも寄稿した。 なおこの間、本科研費および過去の科研費の成果も含め、これまでに単著の執筆をほぼ終え、今年度内には刊行の予定である。批判国際法学と一部議論を共有し、かつ新しい国際法学構築を目指す内容となっており、これまでの科研費の恩恵を十分に反映したものとなっている。
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