研究実績の概要 |
2019年度は、対世的性格を有する国際義務の中でも、一体的義務の例とされる軍縮・不拡散法分野のうち、大量破壊兵器の不拡散に関する国内実施義務の国際的実現に取り組んだ。具立的には、(1)核不拡散条約と化学兵器禁止条約における国内実施義務の態様と国際原子力機関(IAEA)と化学兵器禁止機関(OPCW)による当該義務違反への対応と限界、(2)国連安保理決議1540上の安全保障貿易管理に関する国内実施義務の態様と1540委員会による当該義務違反への対応と限界を検討した。(1)については、研究の途上であり、本研究の最終年度までに論文化するための構想をまとめることができなかったが、必要な資料はほぼ収集しているので、近く、論文として公表できるようにしたい。(2)については、軍縮・不拡散法だけでなく、海洋法の知見、とくに航行の自由との関係での研究も必要になったため、南シナ海仲裁判決やPSI等の海上における不拡散措置の検討を行った。この点は、論文化することができ、萬歳寛之「南シナ海における国際法課題」『地域研究としてのアジア学』(2020年)1-22頁、及び上記4.Hiroyuki Banzai, “Maritime Counter-Proliferation of Weapons of Mass Destruction and the Freedom of Navigation: A Japanese Lawyer’s Perspective”, Dai Tamada and Keyuan Zou (eds.), Implementation of United Nations Convention on the Law of the Sea: State Practice of China and Japan (Springer, 2020) (Forthcoming)として上梓した。
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