研究実績の概要 |
英文書評(1)‘Global Commons and the Law of the Sea. Edited by Keyuan Zou. Brill Nijhoff. Leiden/Boston. 2018. Xxiv + 349 pp. ’, Transcommunication, Vol. 6-1, Spring 2019, 59-62.と英文書評(2)‘The Free Sea: The American Fight for Freedom for Freedom of Navigation. By James Kraska and Raul Pedrozo. Naval Institute Press, Annapolis, Maryland, 2018, xvii + 398 pp. ’, Waseda Global Forum, No. 15, 2018, pp. 105-109.を書き、グローバル・コモンズ(GC)に関する現段階での概念の推移を検討した。依然としてGCを本や学会題目等におけるタイトルとして使用されている例がみられるが、GCの概念の定義を明確に行っているものは非常に少ないし、そのラベル化だけが依然として一部に残っている状況である。GCの中身の体系化や理論化の進展はあまり見られない。その原因は、例えば、GCを構成する要素としてあげられる海洋の深海底部分についての詳細な考察は行われるものの、それがGCとしてどのような位置づけにあるのか、GCという概念そのものの多角的な分析や総合的研究は乏しいと見られる。 こうした状況にかんがみて、中国の最近の事情は、宇宙関連およびサイバー空間への自国の権限拡張とその確保を図る政策の推進であるが、実際は目下の米中貿易戦争下で法的対応は途上で、その国際社会の反応も様子見であると言わざるを得ない。しかし、コモンズという概念の曖昧さの故に、様々な立場からの利用と応用ともいうべき呼称として、依然散見されるのは、いずれの国も賛同し得る上に、いずれの国も否定しづらい一般性や協調性に富んだ基盤が内包されているからでもある。 こうした点をさらに突き詰めて検討していきたい。
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