• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2018 年度 実施状況報告書

グローバル・コモンズを巡る中国による国際法形成に関する動態的研究

研究課題

研究課題/領域番号 17K03395
研究機関早稲田大学

研究代表者

池島 大策  早稲田大学, 国際学術院, 教授 (50255577)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワードグローバルコモンズ / 公海 / 海洋 / 深海底 / 宇宙 / サイバー空間
研究実績の概要

英文書評(1)‘Global Commons and the Law of the Sea. Edited by Keyuan Zou. Brill Nijhoff. Leiden/Boston. 2018. Xxiv + 349 pp. ’, Transcommunication, Vol. 6-1, Spring 2019, 59-62.と英文書評(2)‘The Free Sea: The American Fight for Freedom for Freedom of Navigation. By James Kraska and Raul Pedrozo. Naval Institute Press, Annapolis, Maryland, 2018, xvii + 398 pp. ’, Waseda Global Forum, No. 15, 2018, pp. 105-109.を書き、グローバル・コモンズ(GC)に関する現段階での概念の推移を検討した。依然としてGCを本や学会題目等におけるタイトルとして使用されている例がみられるが、GCの概念の定義を明確に行っているものは非常に少ないし、そのラベル化だけが依然として一部に残っている状況である。GCの中身の体系化や理論化の進展はあまり見られない。その原因は、例えば、GCを構成する要素としてあげられる海洋の深海底部分についての詳細な考察は行われるものの、それがGCとしてどのような位置づけにあるのか、GCという概念そのものの多角的な分析や総合的研究は乏しいと見られる。
こうした状況にかんがみて、中国の最近の事情は、宇宙関連およびサイバー空間への自国の権限拡張とその確保を図る政策の推進であるが、実際は目下の米中貿易戦争下で法的対応は途上で、その国際社会の反応も様子見であると言わざるを得ない。しかし、コモンズという概念の曖昧さの故に、様々な立場からの利用と応用ともいうべき呼称として、依然散見されるのは、いずれの国も賛同し得る上に、いずれの国も否定しづらい一般性や協調性に富んだ基盤が内包されているからでもある。
こうした点をさらに突き詰めて検討していきたい。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

当該年度の進捗状況は、やや遅れが見られたといえる。その主たる原因は、第一に、現在、進行している内容の議論を捕捉するのに手間取り、多くの時間を取られたこと、また第二に、筆者が予期せず学部長に就任したことに伴い、研究に割ける時間が当初想定されていたものより相当制限されたからである。日程的な制約から、海外出張や学会報告等の機会が大幅に削られアウトプットの量も縮小された。しかし、その分、国内で行える文献検索、資料収集に時間を多く注ぎ、当初は次年度に予定されていた文献・資料の検索収集を余裕をもって行えるよう努力した。

今後の研究の推進方策

今後は、こうした進捗状況につき、本研究の全体に大幅に影響を与えるものではなく、最終年度においても修正可能かと思われる。そのためには、研究対象とすべき期間と中国の政策内容を限定して研究を遂行することが必要であろう。また、アップデートな状況の把握を最低限にとどめ、むしろ理論的な争いに関する学界の動向に焦点をあてつつ、議論の分類に時間を割くことで、細部に囚われない検討がより有意義に行えると思われる。
さらには、宇宙分野やサイバー空間についてのコモンズとしての理念的な背景やその発展可能性につき、中国の独自の考え方の有無、欧米先進諸国との対立点を重点的に検証することで、研究の中身を充実させていきたい。

次年度使用額が生じた理由

外貨建ての書籍の購入に際して円換算で若干の端数が生じたため、これを次年度研究費に消耗品購入として充てたい。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2019 その他

すべて 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件) 備考 (2件)

  • [学会発表] Japan's Foreign policy to Overcome Its War Legacies: Is International Law Useful in Resolving Japan's Territorial Issues with Its Neighbouring States?2019

    • 著者名/発表者名
      Taisaku Ikeshima
    • 学会等名
      Alliance of Asian Liberal Arts Universities Lingnan University
    • 国際学会 / 招待講演
  • [備考] Book Review Global Commons and the Law of the Sea.

    • URL

      https://waseda.repo.nii.ac.jp/?action=repository_uri&item_id=46194&file_id=162&file_no=1

  • [備考] Book Review The Free Sea. By Kraska & Pedrozo.

    • URL

      https://waseda.repo.nii.ac.jp/?action=repository_uri&item_id=46127&file_id=162&file_no=1

URL: 

公開日: 2019-12-27  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi