研究課題/領域番号 |
17K03398
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研究機関 | 大阪学院大学 |
研究代表者 |
繁田 泰宏 大阪学院大学, 法学部, 教授 (40298790)
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研究分担者 |
佐古田 彰 西南学院大学, 法学部, 教授 (00281874)
小林 友彦 小樽商科大学, 商学部, 教授 (20378508)
岡松 暁子 法政大学, 人間環境学部, 教授 (40391081)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 水資源 / 衡平利用 / 損害防止 / 相当の注意 / 予防概念 / 協力義務 / 海洋の衡平利用原則 / 共有天然資源の衡平利用原則 |
研究実績の概要 |
平成29年度は、4回の研究会を開催し、討議を行った。研究会の日程と場所は、以下の通りである。①平成29年8月7-9日(大阪学院大学)、②平成29年12月26-28日(大阪学院大学)、③平成30年2月16-17日(大阪学院大学)、④平成30年3月4-6日(法政大学)。 研究会では、陸上淡水資源と海洋資源の利用をめぐる国際法の理論状況を概観し、関連する最近の国際判例を検討することに主眼を置いた。検討された判例には、次のものが含まれる。国際司法裁判所の諸事件(パルプ工場事件、サンファン川事件、捕鯨事件)、国際海洋法裁判所の諸事件(国際海底機構勧告的意見、西アフリカ漁業委員会勧告的意見)、国際仲裁裁判所の諸事件(インダス川キシェンガンガ事件、南シナ海事件、チャゴス群島事件)。 本研究において鍵となる国際判例をメンバー全員で丁寧に読み込むことにより、判例の持つ意味を正確に理解することが可能になると共に、特定の事件を超えて一般的に理論化することの可能性と限界について、様々な視点から論じ合うことができた。今後の研究の方向性を見定める上で、非常に意義のある作業であったと考える。 上記の作業から抽出され、今後内容を明確化すべきと考えられる法概念として、次のものが見出された。すなわち、「相当の注意」、「予防概念」、「協力義務」、「海洋の衡平利用原則」、「共有天然資源の衡平利用原」。また、特に国連海洋法条約下での強制的仲裁・調停といったメカニズムを通じた、損害防止と衡平利用の原則の実現・明確化の可能性も検討する必要があることも感じられた。今後、これらの課題に取り組んでいく所存である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定通りに研究会を開催し、報告もしっかり出来ているため。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、上で述べた課題を各自が持ち帰り、自分の専門的知見を基に研究を深め、研究会の場で発表していく。これは、平成31年9月に予定されている国際シンポジウム(於 法政大学)の準備作業ともなるものである。それと並行して、その国際シンポジウムで招聘する予定のイーディス・ブラウン・ワイス教授(米ジョージタウン大学)のこれまでの著作を読み、彼女の関心と理論枠組みとを理解するための読書会も行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成29年度には、国際学会への出張がなかったため。残額は、平成30年8月にオーストラリアのシドニーで開催される国際法協会(ILA)研究大会への参加のために使用する予定である。
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