本研究は、独占禁止法による企業結合規制において、①競争制限的な横並び行動と適法な横並び行動を識別できるかを検討し、②協調的行動が懸念される状況を客観的な指標で特定できる基準を構築した。①については、横並び行動が観察されたことだけでは、競争制限的な協調的行動なのか適法な同質的行動なのかを識別できないとの結論に至り、横並び行動に基づいて協調的行動の予測を行うことは慎重になるべきであって、少なくとも他の証拠による補強が必要であるという結論を得た。②については、協調的行動による競争の実質的制限の予測で最も焦点を当てるべき客観的指標は、首位企業を中心とする企業間の費用格差であることを明らかにした。
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