研究課題/領域番号 |
17K03411
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研究機関 | 鹿屋体育大学 |
研究代表者 |
森 克己 鹿屋体育大学, スポーツ人文・応用社会科学系, 教授 (60343373)
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研究分担者 |
坂中 美郷 鹿屋体育大学, スポーツ・武道実践科学系, 助教 (10574056)
国重 徹 鹿屋体育大学, スポーツ人文・応用社会科学系, 教授 (50225174)
高橋 仁大 鹿屋体育大学, スポーツ・武道実践科学系, 准教授 (50295284)
内田 良 名古屋大学, 教育発達科学研究科, 准教授 (50432282)
山田 理恵 鹿屋体育大学, スポーツ人文・応用社会科学系, 教授 (60315447)
濱田 幸二 鹿屋体育大学, スポーツ・武道実践科学系, 教授 (90244277)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | イギリス / スポーツ / インテグリティ / 虐待 / ドーピング / 不正経理 / 八百長 / スポーツ団体 |
研究実績の概要 |
本研究は、スポーツに関わる倫理的問題である指導者による虐待・体罰・ハラスメントの問題、ドーピング、不正経理などスポーツ団体の不適切な運営の問題、八百長や違法な賭博、人種差別等の克服が、スポーツ・インテグリティの実現にとって不可欠であることから、スポーツ指導者による虐待等の防止に関して、18 歳未満の子どもを虐待等から保護するchild protection(以下CPと略)の世界で最も先進的な制度を整えてきたイギリスの制度に関する本研究代表者の研究成果を踏まえ、上記の諸問題のイギリスでの取組を考察し、2020年に東京オリンピック・パラリンピック大会を開催する日本のスポーツ界において、スポーツ・インテグリティを実現するために示唆を得ることを目的とする。 今年度は、関連文献・資料の調査、2017年9月にイギリスで学術調査を実施し、UK Sport、CPSU、RFU、Sport Resolutionの各担当者と面会し、Chichester大学で開催されたシンポジウムで研究発表した。その結果、UK SportとSport Englandが共同で2016年12月に「スポーツガバナンスに関する規程」(A Code for Sports Governance)を策定し、2017年4月に公的な資金を受けるあらゆるスポーツ団体が守るべき規範として施行されたこと、2017年4月にデジタル・文化・メディア・スポーツ省が「スポーツにおけるケアの義務」(Duty of Care in Sport: Independent Report to Government)を策定し、優先的勧告のほか、教育、移送、代表等の勧告がなされたことがわかった。これらの規程、報告書にCPに関わる内容が含まれており、スポーツ団体のガバナンスの問題とCPを含めアスリートの福祉の確保が一体として捉えられていることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は、イギリスの学術調査を予定どおり実施することができ、イギリスではCPなどアスリート保護の問題とスポーツ団体のガバナンス体制の整備が一体として捉えられていることが判明する等、新たな知見が得られた。 また、スポーツ団体のガバナンス体制の整備は、アスリート保護以外のスポーツ・インテグリティの問題全般に関わることであること、日本のスポーツ界でも大相撲の暴力問題を端緒とするスポーツ団体のガバナンスに関わる問題が生起したことから、今年度実施予定であったアンケートは実施せず、次年度以降のイギリスでの更なる学術調査の実施及び日本のスポーツ団体におけるガバナンス体制整備の問題等を検証したうえで、論点を再検討し、日本のスポーツ団体に対するアンケートを実施することとした。 以上のことから、研究計画の今後を展望すると、計画書記載のとおりに研究が進んでいると評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
今年度の研究の結果、CPを含むアスリート保護の問題は、スポーツ団体のガバナンス体制の整備の問題と一体として把握する必要があることが改めて確認された。 このため、今後も基本的には当初の研究計画に基づき、関連文献・資料による研究、イギリスでの現地調査を実施するが、スポーツ・インテグリティに関する研究を実施するに当たり、前記「規程」と「報告書」でも指摘されたスポーツ団体のガバナンス体制の整備の問題との関連性を本研究の柱として更に研究を継続することとしたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究分担者のうち一名が今年度予定していた研究を次年度も継続して実施することになったこと、及び他の二名の物品の購入額が予定額より下回ったため。 今年度執行予定だった分及び次年度分を合わせて次年度に物品購入費等に充てる予定である。
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