研究課題/領域番号 |
17K03416
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研究機関 | 名城大学 |
研究代表者 |
柳澤 武 名城大学, 法学部, 教授 (70363306)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 整理解雇 / 人選基準 |
研究実績の概要 |
本テーマに関わる研究会を定期的に開催し、うち一回は外部の研究者を本研究費にて招聘し二日間(7月8-9日)にわたる議論を行った。同研究会では、「攻撃的雇用終了」や「解雇の代替的処遇」といったコンセプトを立て、比較法的な見地からの知見も取り入れた検討を行った。 主要な研究成果としては、10月15日(日)に小樽商科大学にて開催された、日本労働法学会での報告がある。同報告では「雇用終了における人選基準法理」と題して、近年の人選基準をめぐる紛争において「基準なき基準」に起因する課題が顕在化していることを示し、整理解雇法理に求められる人選基準の指標を提示するとともに、解雇の代替的処遇と整理解雇法理との関係を検討した。また、人工知能(AI)を用いた人選基準の課題について、アメリカでの議論を紹介した。 また、重要判例解説において「会社更生手続下の整理解雇と人選基準の合理性――日本航空事件」を担当し、本テーマに関わる視点からも解説を加えた。当該労働者と他の労働者(整理解雇の対象に選ばれなかった者、条件を知って早期退職した者)との比較考量を行うことで、動的な観点からの「適用の公平性」ともいうべき審査を行っている。かかる時系列を考慮した判断手法は、病気休職に限らず、欠勤日数(特に勤怠)のカウント期間、単身者の該当日、年齢基準の判定時期、人事考課の対象期間、整理解雇に先だつ退職勧奨や早期退職優遇などにも関わる問題であることを指摘した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
資料の蒐集や、学会での報告など、予定通りに進行している。
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今後の研究の推進方策 |
特定の労働者に対する解雇法理について、さらに研究を深める。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度末のアメリカ出張(42万円)が、翌年度の執行扱いとなるため。
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