研究課題/領域番号 |
17K03421
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研究機関 | 富山高等専門学校 |
研究代表者 |
松原 義弘 富山高等専門学校, 国際ビジネス学科, 准教授 (30369962)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 障害者雇用 / 合理的配慮 / 合理的調整 / 障害者雇用促進法 / イギリス平等法 |
研究実績の概要 |
2017年度は,3年計画の初年度として,まず障害者雇用促進法による合理的配慮義務の履行確保についての先行研究の収集と検討作業を行った。また,2013年改正促進法および合理的配慮指針(2015年)の検討を通じて,公法的規制による合理的配慮提供義務履行確保の現行制度の課題について検討した。そして,合理的配慮を行うにあたっての事業主に対する行政の助言・指導・勧告のしくみ,合理的配慮をめぐる苦情処理に関する都道府県労働局の役割や調停制度に関する資料の収集と検討を行った。次に,富山県内企業における障害のある労働者への合理的配慮の状況に関する基礎調査を行った。そして,イギリス平等法における合理的調整義務規定の実効性について調査と検討を行い,その成果として論文「イギリスの障害者雇用における合理的調整の保障」富山高等専門学校紀要第5号(2018年)1-9頁を公表した。イギリス2010年平等法の下では平等人権委員会(EHRC)が障害者への合理的調整の保障と権利救済のために大きな役割を担っていること,EHRCは,障害者と使用者との紛争解決や障害者の権利救済のための支援を行い,必要な場合にはEHRC自らが訴訟を提起できるようになっていることなどを確認し,日本の法制を考察していく上での示唆を得た。 本年度の後半には,障害者雇用における合理的配慮に関連した過去の裁判例の検討や判例評釈を行った。この研究成果は,論文にまとめて2018年度内に公表する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は,研究計画に基づき,障害者雇用促進法における合理的配慮義務の履行確保に関する先行研究の収集と検討作業が予定どおり行えた。また,次年度に行う予定であったイギリス平等法における合理的調整の保障に関する研究の一部を前倒しで行うことができた。本年度予定していた富山県内企業での合理的配慮についての実態調査はやや遅れているが,前述のようにイギリスを対象とした比較法研究が先行して進んでいるため,トータルで見るとおおむね順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
①企業における合理的配慮についての実態調査を2018年度も引き続き行う。 ②職場における合理的配慮の提供を確保するための社会的資源(地域障害者職業センター等)の役割についての実態調査を進める。 ③イギリス平等法における合理的調整義務規定の実効性確保のしくみについて,合理的調整をめぐる紛争処理・苦情処理のしくみや状況について,さらに調査と検討を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
2017年度は,予定していた物品が予算額よりも安く購入することができたため,支出額が予算額をわずかに下回った。 2018年度は,外国調査を行うため,旅費で相当の支出が見込まれる。
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