研究課題/領域番号 |
17K03423
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
樋口 亮介 東京大学, 大学院法学政治学研究科(法学部), 教授 (90345249)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 共同正犯 |
研究実績の概要 |
2019年度は、「特殊詐欺における共謀認定」と題する論考を公表することができた。 2018年度に公表した、共謀共同正犯に関する論文と、実行共同正犯に関する論文における理論構造を前提に、特殊詐欺事案における実務状況の理論化を目指した。 雑然と共同正犯を基礎づける事実関係が羅列されがちな現在の状況において、主要事実を共謀=実行行為の全部または一部の合意との定式により、主要事実の特定を試みた。受け子と背後者の共謀認定が容易であるのは受け子が実行共同正犯者であることから理論化できること、また、対照的に包括的共謀認定において多岐にわたる事情が考慮されるのは、反復する複数の詐欺全体に対する実行の合意の認定が必要であるとの理解から基礎づけられることを明らかにできた点で有益な論稿となった。 また、波及的な作業として、「平成の刑法総論」と題する論考において、最高裁判例及び調査官解説と学説のかかわりを明らかにすることができた。 さらに、2017年7月、2018年5月の学会報告である「企業災害・両罰規定における個人の過失責任」「責任非難の構造に基づく責任能力論」を公表することもできた。過失犯については重要判例であるJR福知山事件の分析を行うことができた。また、責任能力論については、精神医学者、裁判実務家との共同研究であり、実践へのインパクトも期待することができるものとなった。いずれの研究成果も、長期にわたる研究の延長として、実践的な局面において主要事実を特定することに貢献するものと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
2017年度の過失研究、2018年度の責任能力、および、共同正犯研究を論文の形で公表することが2019年度も継続できた。 いずれも我が国における主要事実の解明が進んでいない領域であり、3つの領域について3年目で論文を執筆できるのは想定外である。さらに、特殊詐欺という局面に取り組むことも想定よりはるかに早く実現できた。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度は性犯罪に中心に取り組む。 すでにグループ研究において比較法調査を進めており、自身が担当するアメリカ法を通じて、性犯罪における不同意認定における主要事実の析出を予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
書籍の公刊が想定より遅れたため、使用予定の支出が消滅した。 また、コロナウイルスの影響により、予定していた出張がすべてなくなった。
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