研究課題
基盤研究(C)
刑法解釈に基づいて立証対象になる事実を特定するという作業を大幅に進捗させることができた。特に、規範的要件に依存する度合いが高い過失犯について事案ごとの立証対象の特定方法を解明する論稿を公刊することができた。また、責任能力や性犯罪といった処罰範囲が不明瞭な概念についても、処罰を基礎づける事実の具体化に取り組むことができた。そのほか、共同正犯について、特に特殊詐欺事案の包括的共謀を素材にして、要件事実の観点から立証対象を明らかにすることができた。
刑法
刑事実務において実体法に基づいて処罰範囲を明らかにすべきであるにもかかわらず、実体法の不明確さによってその限界が明らかでない領域は多岐にわたる。そのような問題に対して、本研究は刑事実務において依拠できるだけの具体性と信頼性を帯びる提言を行うことを目標として実体法の明確化を目指した。研究推進に際して、複数の研究者との連携を行うこともできたため、広く信頼を集めるという目標を相当程度達成できたと考える。