本研究の成果は下記の4点である。 第1に,公判前整理手続後の公判手続において生じうる証拠制限の理論的根拠及びその具体的内容を明らかにした。第2に,公判手続における証拠制限の可能性を踏まえて,当事者が公判前整理手続において主張すべき内容及び請求すべき証拠の範囲を示した。第3に,関連性概念を主張・証拠の選別基準として用いることにより,充実した公判審理を実現するために必要十分な争点・証拠の整理のあり方を明らかにした。第4に,正当防衛の制限が問題となる事案を素材として,証拠法の視点を踏まえた争点・証拠の整理のモデルを示すとともに,取調べの録音・録画記録媒体を素材として,動的な証拠法規制の具体例を示した。
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