検察官主導の「入口支援」の全面展開にみられるように、再犯防止措置と結びつけた起訴猶予の積極活用の傾向が顕著であるところ、これは、無罪推定原則、適正手続の保障、刑事手続における検察官の基本的役割との矛盾をはらんでおり、公判中心主義との抵触もはらんでいる。また、証拠が不十分な場合に、被告人は無罪を主張して争うべきと助言するか、それとも犯罪事実を認め、起訴猶予処分を求めるべきと助言するかなど、起訴前における弁護人の活動に複雑な問題を投げかけることになる。福祉的支援につなぐための刑事手続からの早期離脱は、起訴後、裁判所の判断によってなされるべきであり、そのために刑の宣告猶予制度を導入すべきである。
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