研究実績の概要 |
平成30年度は、情報保護法制に関するData Protection Act 1998(以下、DPAとする)、Freedom of Information Act 2000(FIA)、Data Retention and Investigatory Power Act 2014(以下、DRIPAとする)、 Investigatory Powers Act 2016(以下、IPAとする)を対象に、情報保護法制について研究を進めた。 DPAは、主として組織における情報の取り扱いを定めたものであり、FIAは、主として個人側から情報コントロール権を定めたものである。特に、DRIPAは、EU判決(Digital Right Ireland Limited c Minister for Communications, C-293/12, 8 Apr 2014; Seitlinger and Others, C-594/12, 8 Apri 2014)(CJEU)によって、イギリス法が準拠していたEU指令(Directive 2006/24/EC)が無効となったため、それに対応するべく、緊急で制定されたものである。ただ、その緊急的措置ゆえに、イギリス国内の控訴院でも違法判決がなされて、さらには、European Court of Justiceにおいて違法判決(C203/15 and C698/15)が出たため、その対応措置として、IPAが制定された。IPAはバルクデータの取扱い等についても詳しく規定されており、その構造分析を行った。 以上の法制、立法の動きについて、文献研究を進めたほか、実務運用への影響について多方面からインタビューを実施する。Peter Carey, Data Protection (4th ED)(2015, Oxford)の基本文献のほか、イギリス法やEU法の動きについて、関連論文・判例を分析した。
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