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2019 年度 実施状況報告書

刑事手続におけるデータ取得・利用法制の研究

研究課題

研究課題/領域番号 17K03427
研究機関信州大学

研究代表者

丸橋 昌太郎  信州大学, 学術研究院社会科学系, 教授 (60402096)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2021-03-31
キーワード令状主義 / 司法審査 / 個人情報 / 条例2000個問題
研究実績の概要

平成31年度(令和元年度)は、前年度までの研究を踏まえて、イギリスのInvestigatory Powers Act 2016(以下、IPAとする)に検討を加えた。IPAは、European Court of Justiceにおいて違法判決(C203/15 and C698/15)が出たため、その対応措置として、IPAが制定されたものであり、EU圏内の情報法水準を理解するうえで極めて有益なものとなった。これらを踏まえて、わが国における情報保護法制に関する近年の改正の意義について、EUの水準に照らして分析しながら、情報取得法制について、適法捜査担保型の理論的枠組みと、その妥当性を示すべく、研究を進めた。
また2015年に改正された個人情報保護法の運用についても調査分析を加えて、わが国における情報法制の全体像も併せて検討した。わが国の情報法制は、いわゆる条例2000個問題といわれるように、保有主体ごとにルールが異なり、とりわけ学術研究において障害になっていることが明らかになった。このため除外規定の構造や、大学における倫理審査体制に関する研究を行った。
学術研究における情報保護の構造は、大学の組織を含めた形で、適法性を担保する仕組みができているということができ、これは、組織をまたがる情報の共有の方法として、刑事にも通ずるものがあることを確認した。
もっとも、保有主体ごとにルール(や表現)が異なる情報保護法制では、関係者がそのルールを理解することや解釈の統一が難しく、また、条例の不統一が、医療、災害対策、テロ対策等における国や自治体間での情報連携、ビッグデータ、IoTといった国家横断的政策や施策の妨げになるという点に大きな課題を残している。特に、犯罪組織への対応については、国家間や自治体間の情報共有が不可欠である。企業を含めた情報法制全体の問題として検討するべきものである。これらの点については、今後の課題としたい。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

おおむね計画通りに進んできたが、新型コロナウイルスの影響で、最終の海外渡航が延期になったため、イギリス法の詰めの調査が残されている。

今後の研究の推進方策

イギリスの警察組織における情報管理についてヒアリングを実施する必要がある。新型コロナウイルスの終息を待って、ヒアリングを実施したい。

次年度使用額が生じた理由

コロナウイルスの影響で、予定していた海外出張が延期となった。状況をみて、慎重に海外出張の予定を計画したい。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2020

すべて 雑誌論文 (1件)

  • [雑誌論文] 軽井沢町における個人情報保護条例改正の取組みについて2020

    • 著者名/発表者名
      丸橋昌太郎 梶谷篤
    • 雑誌名

      情報法制研究

      巻: 7号 ページ: 103‐107

URL: 

公開日: 2021-01-27  

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