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2017 年度 実施状況報告書

適正手続理念と両立する被害者保護制度の探求

研究課題

研究課題/領域番号 17K03428
研究機関大阪大学

研究代表者

水谷 規男  大阪大学, 高等司法研究科, 教授 (20211584)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード被害者の権利 / 無罪推定 / 適正手続
研究実績の概要

平成29年度は、研究期間の初年度であるため、年度前半を中心に、関連する文献の収集と分析、及び本研究の中心的活動である弁護士からの聞き取り調査の項目設定などを行った。年度後半に実際に実施し得た聞き取り調査は、法テラスのスタッフ弁護士経験のある弁護士1人(現在は通常の共同事務所において稼働)と、現在法テラスのスタッフ弁護士を務める弁護士4人について実施した。法テラスのスタッフ弁護士は、刑事弁護と被害者支援の活動の両方を行っているため、本研究の「被害者支援と適正手続の両立」という基本的な視座について理解を得ることができ、彼らの扱ったケースについて貴重な情報を入手することができた。とくに、犯罪被害者等給付金支給制度について、手続についての情報提供が不足している、給付金の額の減額等について合理的説明がないなどの問題点があることが分かった。また、被疑者・被告人が犯罪事実を争っている場合の被害者の手続参加については、被害者支援のみを受任している弁護士の中には、問題のある対応があることを知ることができた。被害者側、被疑者・被告人側双方から受任することがある法テラスのスタッフ弁護士及びその経験者から、無罪推定原則との関係で慎重な対応が必要であるとの回答が得られたことは、調査の成果の一つである。
計画していた海外調査のうち、韓国については日程等が折り合わず、実施できなかったが、台湾については予備調査を実施し、裁判官、検察官から制度の概要を聞くことができた。
本研究の成果として発表した論文等はまだないが、次年度以降に研究成果の発信に努めることとする。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

予定していた海外調査(予備調査)のうち、韓国については未実施であるが、協力者の手配は終えており、平成30年度において実施の見込みが立っている。さらに国内調査についても、すでに複数の調査対象の弁護士の選定を終えており、30年度中に予定通りの研究活動を実施できる見込みである。

今後の研究の推進方策

国内調査については、引き続き実施する。30年度は、弁護士会の被害者委員会を対象とする聞き取り調査も加える予定である。海外調査については、韓国と台湾について実施予定であり、いずれについても調査協力者と連絡を取り、日程等を調整することとしている。

次年度使用額が生じた理由

旅費及び謝金の支出が予定を下回った理由は、国内調査の対象の選定に手間取ったことと、予定していた韓国における調査が実施できなかったことによる。この分を平成30年度に繰り越して、韓国調査、台湾調査、国内調査の3つの活動を行う予定であり、30年度中には、ほぼ予定通りの支出額となる見込みである。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2017

すべて 雑誌論文 (1件)

  • [雑誌論文] 保険金目的の現住建造物放火、殺人、詐欺未遂の罪で無期懲役の確定判決を受けた2人に対し、再審で無罪を言い渡した事例―東住吉事件無罪判決2017

    • 著者名/発表者名
      水谷規男
    • 雑誌名

      判例時報

      巻: 2347号 ページ: 168-174

URL: 

公開日: 2018-12-17  

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