本研究では、被害者保護と刑事手続における適正手続理念の両立を可能にする制度のあり方を探求した。その具体的な方法としては、文献研究に加え、被害者支援と刑事弁護の両方に携わる弁護士からの聞き取り調査を行った。また、比較法的研究の対象として韓国と台湾を選び、この2国についても弁護士からの聞き取り調査を中心とする調査を実施した。本研究によって得られた最大の成果は、近年相次いで立法が行われてきた犯罪被害者保護と刑事司法への被害者参加制度は、弁護士の職域拡大の意味を持つこと、とくに若手の弁護士には、被害者保護と刑事弁護を対立的にとらえる傾向がないことが明らかになったことである。
|