令和4年度の研究の取り組みとしては、主として令和3年少年法改正における特定少年の処分選択と調査の関係の分析という新たな論点についての調査も含め、少年司法における調査・鑑別についての実務運用についての分析に取り組んだ。具体的には、前年度までに取り組んだ研究を継続し、少年鑑別所法のもとでの鑑別と調査の在り方、とりわけ「法務省式ケースアセスメントツール」を基軸とした鑑別の現状確認と少年鑑別所法および少年院法のもとでの処遇の実情の分析について継続して研究に取り組んだほか、令和3年少年法改正により生じる少年保護手続に関する問題のうち、特定少年の「保護者」の存在をめぐる問題、特定少年に対する虞犯規定適用除外、そして「改正法」施行後の調査の在り方をめぐる議論に焦点を当て、令和3年改正法の評価と今後の実務上の課題についての検討に取り組んだ。 研究期間全体を通じて実施した研究の成果としては、本研究課題の主たる研究目的である「法務省式ケースアセスメントツール」を基軸とした鑑別・調査と処遇との総合的・ 体系的連携の模索および鑑別・再鑑別の場面における処遇と鑑別の連携に関する現状分析について、文献研究のほか、研究期間がコロナ禍による制約と重なってしまったために施設見学は思うように進められなかったが、研究会活動を通じて調査官経験者や鑑別技官、法務教官、そして精神科医などから調査・鑑別実務の実態についてのインタビューを行うことが出来た。このほか、令和3年少年法改正を受け、特定少年に対する要保護性調査の変容が指摘されていることを受け、令和3年改正法の構造分析、改正法実務の運用についての分析課題の指摘、今後の調査実務・処遇実務についての効果検証についての方法論的検討に取り組んだ。
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