本研究では、重大非行事案防止のための多機関連携による非行少年等とその家庭への支援に関し研究を行ってきた。補助事業期間が再々度延長された当第6年度が最終年度となったが、必要に応じて過年度に引き続き、「①資料の収集」、「②実態調査」及び「③検討会の開催」を行うとともに、とりわけ「④研究成果の取りまとめ」を重点的に実施した。 まず、「①資料の収集」に関しては、関連する国内外の論文や書籍等を収集し、その資料の整理・分析を行った。とりわけ本年度も多機関連携による非行少年等とその家庭への支援の枠組みを形成する上で一つの法的基盤となる子ども・若者育成支援推進法に焦点を合わせるとともに、令和4(2022)年に制定されたこども基本法に関しても資料収集を実施した。一方で、「②実態調査」に関しては、上記「①資料の収集」で得られた分析結果なども踏まえながら、「コロナ禍」以降も多機関連携を積極的に実施している国内の地域(東京都及び大阪府)の各関係機関・団体において補足的に聞き取り調査等を実施した。また、「③検討会の開催」に関しては、適宜オンライン上で研究協力者等も交えて実施し、これまでの研究内容を検討するとともに、取りまとめの方針や本研究課題終了後の研究の展開について協議した。そして、「④研究成果の取りまとめ」に関しては、最終年度として、雑誌・図書等の活字媒体で積極的に研究成果を発信したほか、学会大会・講演会等の様々な機会を通じて口頭発表でも研究結果の社会への還元を図った。 本研究を通じ、重大非行事案を防止する上でも、地方公共団体が中核となる子ども・若者育成支援推進法の枠組みに基づいた支援の活動や、民間団体を中心とした若年の被害女性を支援する活動及び子ども・若者の居場所づくり、といった地方公共団体や民間団体の活動と結び付いた機関・団体連携の活性化が鍵となることを明確化することができた。
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