2017年度:研究担当者全員で7回の研究会議を行い、研究課題について討議を行った。第1回、第2回の会議で、研究方針と具体的な研究計画を立て、裁判と法科学についての事例研究・法科学の海外調査・標準鑑定法の策定・信頼性評価法の確立の4課題について研究を開始した。標準鑑定法についてはDNA型鑑定とビデオ画像鑑定の問題点を討議した。海外調査ではヒューストン法科学センター等を視察し有益な情報をえた。 2018年度:事例研究では足利事件と飯塚事件のDNA型鑑定について議論した。科学的証拠の課題について浅田和茂名誉教授を、袴田事件については浜田客員教授をお招きし講義を受けた。海外調査ではニューヨーク市検視局法生物学研究所(OCME)等の視察を行った。鑑定倫理と科学鑑定書の用語法について調査し議論した。 2019年度:DNA型鑑定とビデオ画像鑑定についてご鑑定の原因と対策を議論した。海外の情報をもとに科学鑑定の信頼性評価の方法について議論し、ブラインド・テストとアセスメントシート法を提案することとした。これまでの研究成果をまとめ、「科学鑑定はどこまで信用できるか?」と題する研究発表会を公開で開催し、20数名の来聴者があり、有益な意見や助言が得られた。この研究の一部は立命館大学の人間科学研究誌に「法科学の再構築―誤鑑定防止のための司法・社会システムの修復に向けて-」を投稿し採用された(現在印刷中)。また、「日本の法科学の課題と改革―科学的証拠の信頼性評価法と標準鑑定法の確立に向けて―(仮題)」を執筆・編集中で本年度中に出版予定である。 今後の課題として、デジタル・フォレンジック分野の科学鑑定の在り方を研究し、標準鑑定法の策定を目指す。
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