研究課題
基盤研究(C)
本研究の最終的な目標は,ドイツ不法行為法を手がかりとして,「物の危険に基づく責任」の理論的基礎と具体的規律のあり方を明らかにすることにあった。検討の結果,この種の責任の再構成につながる示唆が一定程度得られたものの,ドイツ法において近時の議論が低調であることや,ヨーロッパ不法行為法との関係でも未解明の点があることから,本研究課題単独の成果とするのではなく,英米法等の他の法体系も考慮に入れて研究を再構築することを検討している。
民法(不法行為法)
ドイツ法における議論(特に危険責任論)ついて,我が国では必ずしもよく知られていない少数有力説も含めて検討した結果,一定の新たな知見を得ることができた。これは,ドイツの通説的見解を繰り返すのではなく,我が国独自の責任法のあり方を検討することにつながる。また,こうした成果は,将来ありうべき不法行為法の立法的改革の際にも役立てることができるであろう。